Thursday 29 March 2007

メルボルンで賃貸を探す(番外編)

物件探しが難航を極めていたある日の朝、リビングでテレビを見ているとめったに鳴らない家の電話が鳴った。

まだまだ電話での会話に自信のない私。いつものように無視を決めこもうとしたが、先日元シェアメイト兼大家のC嬢から

「あなた達の退去前に、不動産屋が一度その家見に行く事になってるの。事前に電話があるはずだから、よろしくね」

と言われていたのを思い出し、勇気を振り絞って受話器を取った。しかし・・・・・

"Hello. +★%”☆#%☆&★#$|*&$"

ヤバい。やっぱり早すぎてほとんど理解できない・・・・・。しかし、話し方から判断するに不動産屋のようだ。なぜなら彼らは誰もがすごく早口だから。

「・・・・・それで、今日の5時頃行くから☆%”☆#★☆★」

5時ね!5時に誰か来るのね!?恐らくエージェントが入居希望の人を2、3人くらい連れてくるのだろう、と勝手に予想。

となると、急いで家の掃除をしなければ。チャチャチャっと部屋を片付け、最後に裏庭で摘んだバラを1輪食卓に飾り、お客の到着を待つ。

約束の5時が近づくが、今まで電気工事や庭の手入れ等のいろいろな業者が時間通りに来た試しがないためリラックスしきっていた。ところが、5時5分前

<トン!トン!>

とドアをノックする音が。もう来やがった!!早かったり遅かったり、どっちやねんッ!!

玄関のドアを開けると、エージェントの

「ハーイ、お部屋見せてもらっていい?」

の声に続き、老若男女が一斉にワラワラと入ってきた。10人は下らない。っていうか、これはいわゆる"Open for Inspection"じゃないか!!

C嬢が台湾系オージーだったおかげで、私たちはオーストラリアに来てからも家の中で靴を脱ぐ生活を享受していたのだが、入居希望者のいかにもオージーな皆さんは当然のごとく靴を履いたまま上がりこんできた。自分の家に赤の他人がゾロゾロ土足で上がりこんでくる。生まれて初めての光景に一瞬ショックを受けたが・・・・・うん、まあ、これは止むを得ないだろう・・・・・。

入居を希望する皆さんは、各部屋や裏庭をサッと見て回ると5分も経たないうちに"Thank you."と言い残し去って行った。アプリケーションフォームを持って帰る人が結構多い。私は家主ではないので、次に住みたい人がいようがいまいが直接関係ないのだけれど、『この家が気に入ってもらえたのかな?』と思うと少しうれしくなった。

数日後、C嬢から「新しい入居者が決まった」との連絡が来た。そして、いつものようにネットで自分たちのための物件を探していると、入居者がとっくに決定したはずの我が家の情報がまだそこにあるのを発見した。いつまでも古い情報を放置しているから、目当ての家を見つけても

"It's been leased.(それはもう決まりました)"

なんて不動産屋で度々言われるハメになるんじゃないか。ルーズなのにもほどがある。とっとと削除しろ!バカー!!

Saturday 24 March 2007

メルボルンで賃貸を探す(その6)



不動産屋で『恐怖のトイレの館』のアプリケーションフォームを受け取り帰宅。

B4版の用紙3枚には現住所、氏名、連絡先の他、入居者の現職だけでなく前職についてまで記入する欄がある。その他に入居者全員の身元を証明する書類(パスポート、運転免許証等)のコピー、銀行口座の取引状況一覧、知人の推薦状等いろいろ揃えなければならないらしい。

私たちはメルボルンにまだほんの数ヶ月しか住んでいない外国人。完成したアプリケーションフォームを眺めていると、自分たちの目から見ても些か心もとない。私が大家なら選ばない。

残り2週間でここを立ち退かなければならないのに、次の家の当てがないなんて。こんな状況は人生で初めてだ。どうしたら事態を好転できるのか想像もつかない。おまけにこの2週間というもの来る日も来る日もネットで物件&MELWAY(メルボルンとその近郊を網羅した道路地図)を見続けていたせいか、近頃頭がガンガンする。

深刻に落ち込んでいるところに、元シェアメイト兼大家のC嬢から電話がかかってきた。私たちの家探しの進捗状況を気にかけてくれたらしい。

「それで、どんな部屋を探してるの?」

と聞かれたのでダーさんが「2ベッドルームのユニット」と答えたところ、

「・・・・・うーん、二人はこちらに来てそんなに時間が経ってないから、ユニットはちょっと難しいかもよ」

との事。えっ?どういう意味?

「ユニットはレント(家賃)をきちんと払えるかどうかについてアパートより審査が厳しいから。ほら、アパートは大家一人に対して何世帯も入るけど、ユニットは大家一人に対して一世帯しか入らないからね。アパートとかで今まできちんとレントを払ってきたっていう証拠でもあればいいんだけど。でも、最近はアパートも難しいらしいし、探している時間もあんまりないし・・・・・」

そんなにユニットの入居が難しいなんて、私たち知らないから!!

「だから、てっきり二人はシェアで探してるんだと思ってた」

えっ!?今頃そんな事言う?!

「じゃあ、後2週間だから頑張ってね」

コ、コラーーーーーーッ!!!!私たちの2週間を返せーーーーーッ!!!

電話が終わった後、完全に戦闘意欲を失った私たち。今からアパートで探し始めたとしてもたったの2週間で決まるかどうか未知数すぎる。シェアを選ぶしか道はなさそうだ。っていうか、もうやってらんねー。疲れた。

後になって、新聞の特集で現在メルボルンは空前の賃貸物件不足であることを知った。入居希望者の中には、アプリケーションフォーム提出の際家賃の上乗せや数ヶ月分の先払いを申し出て希望の部屋をゲットする強者もいるらしい。

知っていたとしても、私たちにはマネできませんが。

参考記事:

The Age 2007年3月6日付 "Rent Rage - In Depth - "

Friday 23 March 2007

メルボルンで賃貸を探す(その5)

ネットで見つけた物件で"Open for Inspection"の日が設定されていない場合は、直接不動産屋でその部屋の鍵を借り自分で見に行くことになる。私たちもセオリーに沿って、とあるサバーブの不動産屋に向かった。

受付には二人の女性がいて、来客が入れ代わり立ち代わりで話しかける他、電話もひっきりなしにかかっている。忙しそうだ。落ち着いたところを見計らい、やっと目当ての物件について尋ねたところ、

"It's been leased. (それはもう決まりました)"

との素っ気無い答え。・・・・・・・あ、そ。まあ、でもしょうがない。次だ、次。

気を取り直して近くの不動産屋に入り、また別の物件について尋ねる。ところがまたもや答えは

"It's been leased. (それはもう決まりました)"

・・・・・・・早くも気分が沈み始める。ヤバい。部屋探しはまだスタートしたばかりだというのに。

どうやらあれこれ選り好みをしていられる状況ではないことを、ここへ来てようやく理解し始めた私たち。もっとお高い部屋なら空いているのかもしれないが、払える家賃には上限がある。

何軒目かの不動産屋で、ようやく希望の部屋の鍵を借りることに成功。鍵を借りられただけで、もうその部屋を契約できそうな気がしてくるほど、既に余裕を失っている。

電車で移動し、30分後に目的の駅に到着。この辺りは元々住宅地ではなかったようで、駅から見える範囲に商店らしきものは皆無。大きなビジネスパークが広がるだけで通りを歩く人影もなく、他のサバーブとは明らかに異なる様相を呈している。実はここは想定外の地域だったのだが、駅から徒歩圏内というだけでも今はありがたいと思わなければなるまい。

今日も今日とて容赦ない紫外線が照りつける中、人気のない歩道を真っ直ぐ10分ほど歩くと目的のユニットに到着。既に鍵は開いており、中に入ると内装屋のおじさんが壁にブラシをかけているところだった。一言断って室内を見せてもらう。

間取りは希望の2ベッドルームのユニットだ。部屋の広さは申し分ない。キッチンは古いが不動産屋の話では全面リフォームされるとの事だった。バスルームも、まあ、これなら我慢できるかな?

最後にトイレをチェックするため、ドアを開けたところ・・・・・

ゾワゾワッ!

全身に悪寒が走った。見上げると、部屋一面にモノトーンの壁紙が張り巡らされている。この図柄というのが、ヴィーナス?古代ギリシャの神々?ありがたい意匠を用いている割りにはひどくおどろおどろしい印象で・・・・・書いた人には申し訳ないが、まさに地獄絵図と呼ぶにふさわしい出来栄え。たったの数秒で具合が悪くなったような気がして、慌てて外に出た。

ドアの外にいたダーさんが「ここ気に入った?」と聞いてきたので、「ちょっとトイレの壁紙が・・・・・」と促しダーさんにもチェックしてもらう。ところが、ダーさんは

「壁紙がなにー?」

と言うばかりで全く何も感じていない様子。

・・・・・そうだった。今の私たちには贅沢を言っていられる余裕などないのだ。トイレの壁紙くらいなんだ。

「それで、ここ気に入った?」

ダーさんは相変わらず無邪気に聞いてくる。『こんな気味の悪いトイレの家なんて嫌!』という言葉をグッと飲み込む。

「・・・え、駅からここまで交通量が少なくて、車の運転の練習に良さそうよね・・・」

Sunday 18 March 2007

メルボルンで賃貸を探す(その4)



ネットで部屋探しをしていると、時おり

"Open for Inspection"

の文字に続き日時が記されている物件があるのに気づく。

こちらではネット等で気になった物件を見つけたら、その物件を取り扱っている不動産屋で鍵を借り自分で勝手に見に行くのだが、"Open for Inspection"の日は指定の日時にその家が開放され(15分間位のことが多い)、希望者は予約なしで自由に物件の内部を見学できるらしい。

「これはいい」ということで、気になっていたアパートの中から"Open for Inspection"の日が設定されているものを選び、ダーさんと訪ねることにした。

駅から徒歩圏内にしては閑静な住宅地(と言っても、私の知る限りメルボルンは大体どこもこんな感じなのだが)に建つレンガ造りの2階建のアパートに到着したのは、開始予定時刻の5分前。辺りに立ち並ぶ大きな街路樹が、夕方とは言えまだまだ強烈な紫外線にひっそりと耐えている。

入口の前に所在なさげに立つ若い女性が一人。先客のようだ。ほどなくして不動産屋の女性が到着。すごい勢いで階段を駆け上がりチャッチャと合鍵でドアを開けると、

"どうぞ入って!"

と声をかけられ、部屋の中に通された。

ネットから得た情報によると、ここは寝室1部屋の他にリビングがあって、それとはまた別にキッチンがあるらしい。しかし、オーストラリアの不動産物件情報には間取りが記載されていないのが通常で、稀にあったとしても面積までは明示されていない。このアパートについても広さは知り得なかったのだが、私たちには

『オーストラリアなんだからどんな部屋も充分広いに決まってる』

という根拠のない思い込みがあった。そして、どうせ寝室は一つしか使わないのだから1ベッドルームで充分じゃないかと考えていたのだ。ところが、部屋に入ってすぐの印象は

『・・・・・狭ッ!』

間取りは6、7畳ほどのリビングと同じ広さのベッドルーム。そして、小さなキッチンと洗濯機置き場にユニットバス。洗濯機置き場も狭くドラム式のタイプしか置けない。どう見ても一人暮らし向けの物件だ。いや、日本から来たばかりの時ならこれでもOKだったのかもしれないが、現在2ベッドルームのユニットに暮らしているせいか、もうこの狭さには耐えられそうもない。

戸惑っている私たちに向かって不動産屋のお姉さんが「それで、どっちが住む予定?」と尋ねてきた。正直に「・・・・・二人とも」と答えると、明らかに一瞬ギョッとした様子。

見学後、物件が気に入った場合はその場でアプリケーションフォームを受け取り、後日それを不動産屋に提出、家主に審査してもらう段取りになるのだが、私たちは遠慮した。もう一人の女性ももらわずに帰ったようだ。

そして、実際1軒見て出した結論。

「私たちには2ベッドルームは必要だ。アパートは狭くて騒音が気になる。やっぱりユニットがいい!」

―――今思い返せば、この時点においてもやっぱり何も分かっちゃいなかったのだけれど。

注: 「アパート」と「ユニット」について

アパート・・・・・日本で言うところの「アパート」とほぼ同じ。

ユニット・・・・・一つの区画に数世帯が暮らす点はアパートと同様で、それぞれの世帯の建物が独立または1つの建物が数世帯居住できるよう分割されているもの。いろいろなタイプのユニットがあるらしいけれど、私の見た範囲では平屋の1、2ベッドルームで、一つの建物に1世帯または2世帯で住むタイプが圧倒的多数。

Saturday 17 March 2007

日本にパンダはいません



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先日、購入した料理雑誌をめくっていたところ、裏表紙の広告で目が止まった。

豪大手スーパーマーケットがお寿司関連の食材に限定したプライベートブランドを始めたらしい。

「テイクアウトだけでは飽き足らずに、家庭でもお寿司を作る人が増えてきたのねー。お寿司もすっかりポピュラーになったもんねー」

と感心していたのも束の間。キャッチコピーを見て愕然。そこには

"Authentic Japanese in your kitchen starts with Pandaroo"

(「パンダルー」であなたの食卓に本物の日本食を)

ブランドロゴの両端には、ご丁寧にもパンダとカンガルーのイラストまであしらわれている。

広告の中で"Japanese"を何度も繰り返し強調しているところをみると、お寿司を中国のものと思い込んでいる訳でもなさそうだ。しかし・・・

日本とオーストラリアの溝はまだまだ深い。気が遠くなるほど。

Monday 12 March 2007

メルボルンで賃貸を探す(その3)

Sandringham線は ビーチ沿いに立ち並ぶ高級住宅街を走る路線。自分にはあまり関係のない地域と知りつつ興味本位で訪ねてみた。なるほど、夕方の電車の中はいかにもエグゼグティブ然とした上品なサラリーマンの姿が目立つ。

Elsternwick駅で下車。駅前を通るGlen Huntly Roadを歩く。前回訪ねたOakleighとは違い、ここは通りが広々としている。トラムが走り、日本食材の専門店もあって便利そうだ。道行く人は白い人がほとんどで、立ち並ぶショップからは心なしかお高くとまった印象を受ける。「あら、素敵ねー」と浮き立つ私とは対照的に、「こういう小ぎれいな街は好きじゃない」とダーさんは居心地の悪さを隠そうともしない。

スーパーマーケットColesを見つけ店内を徘徊。Colesの品揃えはサバーブによって大きく様変わりするわけではないようで、『もういいや』と出口に向かおうとしたところ、突然けたたましくサイレンが鳴り始めた。どうやら私が出口だと思ったのは入り口で、うっかり逆方向に歩いてしまったのが原因らしい。

「キャーーーッ!!!」

いたたまれず即座にその場から逃げ出す。

日本で同じ事が起きたら「これはいい話のネタができた」とばかりに友人、家族に言いふらすに違いないくせに、これが外国になっただけでもう自分がダメダメになったような気分になるのは何故だろう?駅近くの店で買ったスムージーを手にベンチに座るが、胸の動悸が治まらない。

『・・・・・やっぱり私もここは合わないかも』

「心配しなくても、そもそもこの辺の家賃払えないから」と、今ならあの時の私に言ってやれるのだが。

Sunday 11 March 2007

メルボルンで賃貸を探す(その2)

昨年一足先にメルボルンに越してきたダーさんが自分の家探しで訪れた際の第一印象が大変良かったということで、まず初めに候補にあがったのはOakleigh。シティから電車で30分ちょっとの街。

なるほど、駅周辺には大型ショッピングセンターをはじめとしてショップが立ち並び、夏の長い夕方をカフェで友人と談笑して過ごす人の姿があちこちで見受けられる。街の看板に目立つ文字から判断すると、どうやらギリシャ系の方が多く住む街のようだ。しかし、通りをザッと見渡しただけでもいろいろな人種の人が歩いている。ああ、これこれ。メルボルンに来たって感じ!

おととし下見旅行でいくつかの都市を回り、結局落ち着く先をメルボルンに決めた理由は、一つには全豪オープンテニスの開催地というのもあるけれど、それ以上に私を引き付けたのは街に溢れる様々な人種の人々だった。オーストラリアの他の都市でも同じような光景は見られたけれど、この国で自分が外国人として暮らしていくことを考えた時、自分が最も居心地が良く感じたのはメルボルンだったのだ。もちろん一人一人が腹の底では何を考えているのかまでは知る由もないけれど、パッと見にはみんな仲良く共存しているように見えた。それで充分だった。

そして、メルボルンに来てからこの時初めてアジア食料品店にも入った。噂には聞いていたが、想像以上の日本食の充実ぶりに驚く。野菜だけとってみても白菜、ニラ、えのき、椎茸(表記は"SHIITAKI"になっているけれど)・・・・・なんだ、これだけ揃っていれば冬に鍋をするのに困らないで済みそうだ。

Oakleigh・・・悪くない。しかし、この街に決めつけてしまうのはまだ時期尚早。他の街もちゃんと調べないとね。

Friday 9 March 2007

メルボルンで賃貸を探す(その1)

こちらに来て間もなく、すぐに次の住居を探さなくてはならないハメに陥った。というのも、シェアメイト兼家主のC嬢が、突然他州への転勤を命じられたのだ。

一応「続けて二人で住んでもらえないか」と打診もあったが、シェアでなければ少々お高い家賃なうえ、ダーさんの職場から遠すぎるのがかねてからの難点だったため、思い切って引越す事に決めた。退去までの制限時間は1ヶ月。

ダーさんも私もオーストラリアで賃貸を契約した経験はもちろん、ない。土地勘もなければ資金がふんだんなわけでもない。ないない尽くしの状況に途方に暮れながらも、日本では何度となく引越しを経験してきたので、『基本はそう変わらないだろう』と内心タカをくくっていた。そう遠くない未来に、これが大間違いだったことが判明するのだが。

地域を選ぶにあたり、ひとまず選択範囲を日本人が比較的多く住むと言われるシティ南東方面に限定する。引越し後、私は語学学校に通うつもりなので、公共交通機関から徒歩圏内の物件が望ましい。家賃は・・・・・こっちは何が目安なの?知るもんか。とりあえず日本的に「収入の3割」以内で探していくことにする。

ネットで手当たり次第に数多くの物件を見ていくうちに、気になる街がいくつか出てくる。しかし、やはり実際この目で街の雰囲気を確かめないことには始まらない。ダーさんの休日を利用して、各サバーブを見学に行くことにした。

Thursday 8 March 2007

オーストラリアで携帯電話を買う(その5)

長い沈黙の後、ダーさんが口を開いた。

「・・・・・もう1回、カスタマーセンターにかけよう」
「えー、何回かけてもダメっぽくない?ダメよ、ありゃダメだ。もう全然ダメ」
「・・・・・でも、そうするしかない」

またまた気が遠くなるくらい自動音声の案内で待たされた後、やっと担当者に繋がった。またまたダーさんが事情を説明。何やら会話を交わすと、ダーさんが自分の携帯を私に渡しながら

「手続きの前に契約者本人の了承がほしい。奥さんは隣にいますか?だって」

えっ?!今回は何だかまともっぽい対応。慌てて電話を代わる。担当の男性は、私の氏名、住所、生年月日、選んだコースを確認すると

「それでは、ご主人に代わって下さって大丈夫です」

と言った。それから私の正しい電話番号を調べ直しただけでなく、テストコールをかけて通話が可能な状態になっているかどうかまで確認してくれた。なんだ、中にはいるんじゃないか、ちゃんとした対応をしてくれる人が!

カスタマーセンターとの通話を終えた後も、本当に電話が使える状態になったのか半信半疑の私。おそるおそる自分の電話からダーさんの電話にかけてみたら・・・即座にダーさんの携帯から着信音が流れ始めた。ディスプレイには私の電話番号が10桁で表示されている。・・・・・やった!やっと使えるようになった!!ありがとう、まともな担当者よ!!

こうして本体を購入してから1週間。やっと通話が可能になったのだった。長かった・・・・・いや、長すぎるだろ。

で、結局何が言いたかったかというと、

・これからオーストラリアでOPTUSの携帯を買おうとしている人は、何か起きた時カスタマーセンターの担当者の当たり外れが大きすぎるので気をつけて下さいね。
・英語に自信のない人は、各種手続きの際なるべくインターネットを使った方がいいですよ。

という話。

Tuesday 6 March 2007

オーストラリアで携帯電話を買う(その4)

以前ネットで読んだ記事では、「OPTUSがコールセンターをインドに作ったところ、インド人の担当者は英語が話せてもオーストラリアの生活や文化を理解していないため、利用者との間でしばしば問題が生じている」と書いてあったように記憶している。しかし、もしかしてそれは「文化を理解していない」のではなく「仕事をしていない」だけなんじゃなかろうか?

これ以上カスタマーセンターに問い合わせても埒が明かないと判断した私たちは、ネットを使う機会を見つけOPTUSのHPへアクセス。このサイトがまた凝っている割にはユーザーに分かりづらいつくりなのだ。画面の表示も崩れまくっている。やっとのことで該当のページを見つけ、通話を可能にする手続きを試みたが、「入力されたナンバーのSIMカード(購入時に本体にセットしたチップ)は既に利用中です」といったメッセージが出るばかり。もう、やってられない・・・。

数日後、ダメもとで再び本体を購入したOPTUSのショップへ。対応してくれた店のおじさんにダーさんが相談を持ちかけたところ、

「その携帯の電話番号を見せて」

と言われ私のメモを差し出した。しばらく眺めた後おじさんも一言。

「・・・・・これ、桁が一つ多いよ」

被害者意識で凝り固まっている今の私には、おじさんの言葉の端々に『なんですぐ気がつかなかったの?こんな簡単な英語も分からねえのかよ。バカじゃねえの、このアジア人』というニュアンスが混じっているように感じられる。

『だって、私、オーストラリアに来たばっかりなんだもん!こっちの携帯電話番号の桁なんて知らないよ!それに、本当にその番号って言ったんだって!!』

訴えたいのはヤマヤマだが、そんな事は別に向こうの知ったことではないだろう。なんだか分からないが猛烈にくやしい。

「正しい番号が分からないんじゃ、こっちもどうしようもないねえ」

おじさんにも匙を投げられた私たち。店の外に出る。

カスタマーセンターにかけてもダメ。ネットでもダメ。ショップに持っていってもダメ。完全に八方塞がりだ。使えない携帯を掴まされて、このまま泣き寝入りするしかないのか。

巨大ショッピングセンターの通路脇に設けられたベンチに座り、しばらく途方に暮れる。

オーストラリアで携帯電話を買う(その3)

OPTUSのカスタマーセンターに電話をかけた翌朝。再度電話の電源を入れてみたがやはりメールは届いていない。もしかしたら通話は可能になっているのかもしれない、と試しにダーさんの携帯電話にかけてみたけれど、全く通じない。ダメじゃん。今度はダーさんの携帯から私の携帯へかけてもらうことにする。

「これが私の番号なんだけど」

と渡したメモを見たダーさん。しばらく眺めて一言。

「・・・・・これ、桁が一つ多いで」

うそッ!!

見るとダーさんの番号は10桁なのに、私のメモした番号は11桁ある。あんなにゆっくり確認したのに!あっちも"Uh-huh"って言ったのに!確かにその番号って言ったんだって!ホントに言ったんだってば!!ウワーン!!それにしても、たった10桁そこらの数字すらまともに聞き取れないなんて。自分の英語力のなさにさすがに凹む。

どうやらこの状況を改善するためには、再びカスタマーセンターに問い合わせるしか手段がないらしい。今度は自分で問い合わせるのは止め、ダーさんに任せることにする。

しばらく自動音声の案内で待たされた後やっと担当者に繋がり、一連の事情を話すとその担当者は

「OK。じゃあ、この後メール送るから」

と言って切ったらしい。

「すっごいインド訛りですっごい勢いでしゃべられるもんでなかなか聞き取りづらかったけど、多分大丈夫やと思うで」

おー、助かった。手を煩わせて済まなかったね。ありがとう、とダーさんに感謝したのも束の間。やはりその後もメールは一向に送られてこない。

「・・・・・『送る』って言うててんけどなあ?」

訝しがるダーさん。そして、私たちの心に湧き上がる一抹の不安。

・・・・・もしかして、OPTUSのコールセンターって、仕事自体が、テキトー?

Monday 5 March 2007

オーストラリアで携帯電話を買う(その2)

金曜日の深夜12時だったため、直接担当者が電話口に出る事態など予想だにしていなかった私。どうしよう!インドの人と繋がってしまった!!英語、自信ないのに!!「何も言わずにそのまま電話を切る」という選択肢もあったが、小心者の私にはその勇気すらない。

何から話してよいのか戸惑っていると、向こうからいろいろ話しかけてきてくれた。ええい、ままよ!このまま進めてしまえ!!

氏名、住所、生年月日、選んだコース等の質問に答えると、担当の方が私の電話番号を読み上げ始める。ここは絶対に間違えられない。一旦番号を書き留めた後、ひとつひとつの数字をゆっくり復唱する。

"0?" "Uh-huh?"

"4?" "Uh-huh?"

"0?" "Uh-huh?" ・・・・・・・

うん、これなら大丈夫。そして、いよいよ最終段階へ。

「この後30分以内にメールでもあなたの電話番号を送るから、それまで電源を☆@%$*@\#&!+*。それから電源を#%&'$&%*+」

電源を?どうするの?聞き取れなかった・・・。しかし、見知らぬ相手と英語でやりとりする緊張感にこれ以上耐えかねた私は、会話をさっさと終わらせてしまった。

フー、緊張した。まさか人が出るなんてなあ。でも良かった、何とか無事に終わって。ところで、電源どうしよう?これからメールを送ってくるってことは、電源が入ってないことにはメールは受け取れないはずだから、きっと入れたままでいいんだろうな。

そのまま待つこと30分。一向にメールが送られてくる気配がない。不安になって再び説明書を読んだところ、どうやら電源はOFFの状態で待たなければならなかったことに気づく。

慌てて電源を切ったが、もう夜も遅い。また明日の朝確認することにして眠る。

オーストラリアで携帯電話を買う(その1)

こちらに来て数日経ったある日、私が使う携帯電話を購入することになった。携帯電話会社がいくつかある中、ダーさんが既にユーザーであったことから、選択の余地なくOPTUS社のショップへ向かう。

元々携帯に全く興味のない私。おまけに電話を使う相手は当面ダーさんしかいないため、「話さえできれば何でもいい」とプリペイド契約の最もチープな機種を選択したところ、液晶がなんと白黒!今どき?!マジで?!もちろんカメラ機能など望むべくもない。携帯に思い入れのない私ですら、あまりにも簡素な機能に一瞬ガックリするが・・・・・いや、待てよ。もしかしたら私にはこれで必要十分なのかも。

店で本体を購入した後、セットアップは自分でやるものらしい。帰宅後、まず本体を充電。

「その後、電話がかけられる状態にするまでに何かやる事があんねん。よく覚えてないけど」

と言い残し、ダーさんは先に寝室へ。その日の深夜、充電が完了しているのにの気づいた私。

『・・・・・「何かやる事」って何だろ?』

よせばいいのに、自力でセットアップを試みることに。

説明書は全部英語。当たり前か。しんどいな。説明書の裏表紙に付属のSIMカードというチップを切り離し、本体の裏面にはめ込む。自分の利用したいコースも選択した(一番安いやつ)。

最後に、電話またはネットでOPTUSへ自分の情報を伝える必要があるらしい。ネットは今家で思うように使えない状況なので、電話にしよう。24時間対応しているということは、きっと自動音声のガイダンスに従って何か入力したらいいだけなんだろう。まさか、こんな夜中に人が出るなんてことは・・・・・日本ならともかく、ここオーストラリアではちょっと考えにくい。

所定の番号にかけて、待つこと数秒。

「はい、OPTUSカスタマーセンター、担当○○です」

耳元から聞こえてきたのは、強烈なインド訛り。自動音声ではなく生身の人間が話しているようだ。

・・・・・・・あっ。そういえば、OPTUSのコールセンターはインドにあるって聞いたことある。