Wednesday 2 December 2009

60年代のオーストラリアでSamurai & Ninjaブームがあった!

オーストラリアで暮らすようになってから気になっていたことの一つに、テレビ等で「samurai」「ninja」という単語を耳にする機会が多いことがあった。とりあえず自分の中で「単なるエキゾチックでオリエンタルなものへの憧れだろう」と納得してはいたものの、それにしては彼らが「samurai」「ninja」について語る時、言葉の端々からその認識が妙に”正しい”印象を受けるのが謎ではあった。

ちょうど1ヶ月前のこと。豪テレビ局SBSが放送した1時間のドキュメンタリー番組「Shintaro!」を見て、ついにその理由を知ることになった。私が生まれる以前の60年代、オーストラリアのテレビで日本の時代劇「隠密剣士(英語版タイトル”The Samurai”)」が放送され、子供たちを中心に一大ブームを巻き起こしていたのだ。

その英語版のオープニングテーマがこちら。



80年代に堺正章主演の「西遊記」がオーストラリアでも放送されていたことは、当時豪在住だったダーさんが「オレ、英語版の『西遊記』テレビで見てたで。『Monkey』っていうタイトルで、終わりの歌も英語の歌詞に変わってた」とかねがね話していたので知っていたが、「隠密剣士」については恥ずかしながらドラマの存在すら初耳だった。

「隠密剣士」は将軍職にある幼い異母弟を守るため、秋草新太郎が幕府を脅かす悪に対抗する公儀隠密として伊賀忍者の霧の遁兵衛、孤児の周作とともに旅に出るというストーリー。主人公の新太郎を演じた大瀬康一氏は、かつて「月光仮面」を演じた俳優。

aussie_kidsちょんまげの侍、黒ずくめの忍者、日本刀や手裏剣といった物珍しい服装や武器、後ろ向きに飛んだり水の上を歩く等忍者の特殊なアクション、流血あり手足を切り落とすシーンありと子供向け番組にしては残虐なシーン等々は、従来の西部劇のお約束の展開に飽き飽きしていた豪の子供たちの目に大層新鮮なものに映ったらしい。週5日、1話30分の日本の時代劇を見るために子供たちは学校が終わると一目散に帰宅。番組は高視聴率を記録することに。

ojigi_2やがて、プラスティックの刀や手裏剣、忍者のコスチューム、着物風のパジャマ等Samuraiグッズが大人気に。それらを買ってもらえない子供たちは木で刀を作り、パジャマを黒く染め、缶の蓋を手裏剣の形に切るなどして手作り。忍者になったつもりで校庭を走り回り、目上の人の言葉を聞く手下の膝と右手をついたお辞儀(画像右)の真似をしたり、教室では先生の目を盗んでsamuraiカードを交換して遊んだそう。

conflict当時はまだ第2次世界大戦終了後わずか20年。ダーウィン爆撃等、日本軍から攻撃を受けた記憶が生々しい大人世代は、過熱していく一方のSamuraiブームを疎ましく思う向きもあったようだ。「日本の残虐な番組を子供に見せるとは何事か」等、番組を放送するテレビ局には放送中止を求める手紙が山のように届き、やがて反対派と賛成派の間で大論争に。

しかし、子供たちは番組の伝えるメッセージを理解していた。新太郎たちは常に弱い立場にある人々を助けるために悪い人間をやっつける。新太郎は決して自分からは戦いを仕掛けない。子供たちからの圧倒的な支持を得て、番組はそのまま継続して放送されることに。

shintaro_coming_to_aus大瀬康一氏は豪製菓会社の招きを受け65年のクリスマスに来豪。出迎えのためシドニーの空港に6千人、メルボルンでは7千人が集まり、これは前年に来豪したビートルズ以来の熱烈歓迎だったとか。番組には大瀬氏本人も登場。到着前、大瀬氏は興行主から「新太郎の格好で降りてくれ」と頼まれこれを嫌がったそうだが、忍者姿の子供も混じる人々の感激ぶりを目の当たりにして「ああ、着替えて良かった、って思いましたね」と当時を回想されていた。with_ninja_kids大瀬氏は15日間で12回の公演を行った後、帰国。

「The Samurai」の成功に気をよくした豪テレビ局はその後「忍者部隊月光(英語タイトル「Phantom Agent」)」や宇津井健の全身タイツで有名な「スーパージャイアンツ(英語タイトル「Starman」)」もオンエア。しかし、これらは設定が現代だったり全身タイツが奇天烈過ぎたりで、残念ながら「The Samurai」ほどにはオージーキッズ達の心を惹き付けることはできなかったらしい。
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40年来の「The Samurai」ファンで、豪国内で同番組の上映会を企画する等精力的に活動してきたGarry Renshaw氏は、大瀬氏に会うため来日。別れ際に大瀬氏から新太郎のカツラをプレゼントされたそう(画像右)。

放送後、番組HPには当時を懐かしく思い出すファンから「当時Samuraiショーが見たくて、親に頼んで連れて行ってもらった」「番組を自分の子供と一緒に見た」「子供の頃ninjaごっこをして遊んだ楽しい記憶を思い出した」等、たくさんのコメントが付いた。

たとえ文化の背景が違っても、残念な過去があったとしても、本当に良いもの、人の心に響くものは国境の壁を楽々と越え多くの人々に喜んで受け入れられる。自分が生まれるより前に、日本とオーストラリアの間にこんな心温まるエピソードが存在していたことを初めて知るに至り、嬉しく感じると同時に日本人であることを誇らしく思った。

放送日から1週間ほど番組サイトにアップされた後一度は消えたストリーミングだったが、番組を見逃した人から再放送を希望するコメントが多く寄せられたためか、いつの間にかサイトに復活していた。見たい方はSBSの番組HPで(おそらく豪国内のみ視聴可)。なぜか実際に放送されたものとエピソードの順番がかなり違っていたりするけれど、豪在住の日本人で特に40、50代の知人がいる人は必見。

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Thursday 26 November 2009

牛柄のトラック

先日近所のホームセンターに出かけた際見かけた、遠目にもインパクトのある2tトラック。

Moo_Truck

去り行くホルスタイン模様を眺めながら、

「牛の鳴き声は英語で”moo”だなあ・・・Moo トラック・・・ムートラ」

などとぼんやり考えた昼下がり。


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Thursday 19 November 2009

オーストラリアにはやかんがなかった!

日本にいた頃は朝夕冷え込む季節になれば自然に麦茶を飲もうという気が失せていたように記憶しているが、メルボルンではなぜか冬でも平気で飲める。乾燥した気候のせいだろうか。そんなわけで、我が家では冷蔵庫に麦茶を年間通して常備するようになった。

麦茶を煮出すのに今までは手持ちの4ℓ鍋で済ませていたのだが、カレー等油っこいものや匂いのきついものを料理した後麦茶を作るのに同じ鍋を使うのが嫌になって、新たにやかんを購入することにした。

そして、今日キッチン専門店をいくつか渡り歩いた結果、普通のお店はいわゆるやかんを置いていないことに初めて気がついた。ショック!!電気ケトルならどこにでもあるのだが、あれは沸騰したら自動的に電源が切れてしまうため、ティーバッグを入れてから火にかけたまま3分間煮出すなどの作業ができない。こちらの人は紅茶を好むがあれは煮出す必要はない。なるほどやかんの出番はないわけだ。

中華系のお店に行けばアルミのやかんが見つかるのかもしれないが、使っているうちに平気で人体に悪影響のある物質がにじみ出てきそうで食指が動かない。

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Monday 7 September 2009

知らぬが仏

先日我が家に届いたタウン誌をパラパラとめくっていた時、ランチボックスを紹介するページで目が止まった。

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こ、これは・・。

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ギャーッ!!!

ご飯に箸を差すことが日本のお葬式で見られる風習で、箸使いのタブーの一つだなんてことをオーストラリアの人が知るわきゃないのだが、それでもやはり驚いてしまったでござるよ、の巻。

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Friday 17 July 2009

ずっと言えなかったこと

思わせぶりなタイトルで恐縮だが、日本という国を大切に思う皆さんにどうしても今言っておきたいことがある。私は元々魑魅魍魎の蠢く政治の世界には興味がなく、この事に気がついたのはつい一週間ほど前のことなのだが、以来胸の動悸が治まらない。長くなってしまうので結論から先に言うと、最近政界で

「外国人参政権」
「地方分権」
「移民1000万人受け入れ」

をそれぞれ実現させようという動きが民主党自民党の一部にあると聞くが、8月30日に予定されている衆議院議員選挙においてそれらの主張を持つ議員への投票を行うことは即ち

「日本が中国になる」

可能性を意味すると一人でも多くの人に知ってほしい、ということだ。

私はここまで気づくのに2年かかった。何があったかは以下。

***

今から2年前、メルボルンで暮らし始めて数ヶ月。気分的にようやく落ち着いてきたので、家からトラムで5分の場所にある語学学校に通うことにした。

クラスは入学前の面接でレベル分けされ、1クラスにつき40名前後でその半数以上は中国人、その他は日本、台湾、韓国、インド、タイ、ミャンマー、ラオス、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、インドネシア、マレーシアのアジア系、ロシア、レバノン、マケドニア、ポーランド等のヨーロッパ系、リベリアからのアフリカ系が各1~3名ずつと、てんでバラバラ。

それまで私は中国の人は日本のことを嫌っていると信じこんでいたので、「学校で誰かに絡まれることもあるかもしれないな」と身構えていた。ところが、私が日本人だと分かると中国人以外の人はもちろんの事、中国人も皆

「日本のドラマが好き」
「マンガが好き」
「日本の化粧品を愛用している」
「日本で食べた抹茶アイスがおいしかった」

等好意的に話しかけてきたり、ニコニコしながらノートに「木村拓哉」とか「酒井法子」とか書いてくれた。これには

「なんだ、中国人って感じいいじゃん」

とすっかり拍子抜けした。 そして、お互い不慣れな英語でのコミュニケーションに苦労しながらも久しぶりの学生生活を謳歌していた。

学校に通い始めて気づいたことだが、学校の最寄駅周辺を歩く人のうち9割はアジア人でその多くは中国系のようだった。商店街は中国語の看板であふれそこはまるっきり中国。オーストラリアに中国からの移民が多いことは知っていたが、改めてその現実を目のあたりにして驚いた。

そんなある日、事件は起こった。選択授業で一人別のクラスに行くことになった。いろいろなレベルのクラスから集まった生徒たちは面識のない人ばかり。

授業では英語とそれ以外の言語の語順の違いについて知ろうという主旨で、英語の例文の下に各国の生徒が それぞれの言語で対応する語句を色を分けて黒板に書いていた。その時日本人は私一人。場所が空いたので前に出て日本語で対応する文を黒板に書いていた時のこと。突然中国人グループのテーブルに座っていた30歳前後くらいの男性が

「日本で使っている漢字は中国から伝わったものだ!」

と大きな声を出した。すると、同じテーブルに座っていた他の20~30代の男女4人も

「そうだ!そうだ!」

と一斉に囃し立て始めた。 初老の女性の先生は突然の騒ぎに困惑顔で「本当なの?」と私に聞いてきた。私は「そうです」と答えた。

中国人グループは私に向かって「ヒッヒッヒ」としばらく嘲るように笑っていた。私は内心とても驚いていたのだが、なるべく表情を変えずにそのグループを見つめた。 他のクラスメート一同は異様な雰囲気に戸惑っているようだった。ほどなくしてグループは黙り騒ぎは収まったが

『・・・一体何なんだ、この人たちは』

という違和感はいつまでも私の心の中に強く残った。やはり中国人は日本人が嫌いだったのか?

その後学校生活を終えメルボルンで暮らす中でカフェや八百屋さん、コンビニ等のショップで中華系と思しき人と直接言葉を交わすことがあった。恐らく店員さん側は私が中国出身ではなく日本人だと察しがついているはずだが、だからと言ってあからさまに失礼な態度をとる人などいない。むしろ「君、日本人?」と嬉しそうに話しかけられることもある。

それと平行して、テレビやネットで中国人民軍によるチベットでの残虐非道なふるまい、北京五輪前の長野で行われた聖火リレーでチベット弾圧中止を訴えるため集まった活動家に対する大勢の中国人留学生たちのふるまい、そして最近では新疆ウイグル自治区での暴動のニュースを見てきた。

この2年間1対1で言葉を交わした中国人たちと、私をからかったグループ、ウイグル、長野の騒ぎでの中国人たちのイメージが重ならずずっとモヤモヤしていた。大勢集まるとつい気が大きくなって周りの見えない行動に出る集団心理は民族に関係なく働くものだが、それが他者への威嚇、時に暴力行為にまで及ぶのはなぜか。そして、一つの仮定が生まれた

――もしかして中国人の多くは内に相当の不満を溜め込んでいて、集団になると何かのきっかけでそれが爆発しやすい傾向があるのではないか。しかも、自分達の数の力をもって大騒ぎをすればある程度効果があることを理解しているのでは――

クラスメートから聞いた話によると、中国国内の暮らしは相当不自由を感じるもののようだった。インターネット閲覧に国の検閲が入るという話は有名だ。ある女性は信仰するキリスト系の宗教がらみで当局の家宅捜索を受けた話をしてくれた(勧誘も熱心にしてくれたが、丁重にお断りした)。

私はテニスファンで近年躍進著しい中国人女子プレーヤーの例を挙げると、つい最近まで選手はコーチや出場トーナメントを自分の意志で選べず、中国テニス協会の指示に従わなければペナルティを課せられたという。彼女達がプロに転向して数年経った昨年末、ようやく稼いだ賞金のうち7割を選手自身が受け取る権利を得たという報道もあった(それ以前はその半額だったとか)。ある選手の「国の命令がなければプロにはなっていなかった」と発言もあった。

国からの縛りがきつい窮屈な日常の中で、外に違う世界があると思えば夢を見るのは必然。だからこそ、リスクを承知で多くの中国人が諸外国に流出しているのだろう。しかし、外国に出て自由を得たところで、その土地でもいつまで経っても外国人扱い。それどころか現地の人から疎まれるケースが圧倒的のようだ。中国系移民が多く暮らす国では今何が起きているのか。

リンク: 中国人「移民受け入れ」一考 博士の独り言.(カナダ・バンクーバーの例) ←時間がない人はこれだけでも読んでほしい
リンク: レコードチャイナ:移民問題の深刻なプラート、中国系住民を対象に治安強化へ―イタリア.(イタリア・プラートの例)

日本でも外国人受け入れが積極的に行われるようになれば、自国から近く、欧米的なものより馴染みやすいカルチャーが豊富で、漢字を使い、日常生活で容貌が周りから浮き立つことのない日本での生活に多くの中国人が自分の新天地を求めるのは想像に難くない。

同時に、私をからかった中国人グループの一件から見るに、心の底には日本に対して複雑な思いも抱えているようだ。中国の公教育の場で行われているという「反日教育」というもののせいだろうか。ちなみに「反日教育」とはWikipediaによると、
中国・韓国・北朝鮮における歴史教育に対し「第二次世界大戦における日本の侵略性、加害者性を過剰に強調し、これらの国が受けた被害を殊更強調する教育」をしているとして日本側が反日教育と呼ぶことがある。

最初にクラスメートとして出会っていたら彼らも普通に会話をしてくれたかもしれないが、お互い面識のない少数の日本人と中国人多数が一堂に会したとしたら、私が体験したのと同じような出来事は再び容易に起こり得るのではないか。

日本で移民1000万人の受け入れが実現すれば、在日外国人の生活権利を巡り行政との間で何らかの摩擦が生まれることはまず間違いない。そんな状況下で長野の聖火リレーの時のように共産党から何らかの指令がきたとしたら?反日教育の成果のおかげで

「今の自分たちの生活が悪いのは日本人のせいだ!」

と集結した大勢の中国人が片手に棒を持って暴れだしたとしても、誰に命令されたわけでもないはずの中国人グループから(単なるからかいに過ぎないとは言え)攻撃を受けた身として私は驚かない。日本人の抵抗次第ではチベット、ウイグルで起きたように血みどろの大抗争になる可能性だって十分有り得る。

恐ろしいのは、最近にわかに「地方分権」も叫ばれ始めたことだ。

「権限や財源を地方に移譲し、これによって地域の特性に即した”まちづくり”が可能になる」
「国会議員の数が少なくて済む。国会議員の権力を弱めることができる」

と聞けば何だか良いアイデアのようにも思われるが、果たして本当にそうか?

地方が政治の決定権を握るということは、今より少ない人数でその地域における重要なルールを決めてしまえるということだ。極端な話だが、ある選挙区の過半数が外国人だったとしたら?そして参政権を持っていたとしたら?数の力で何とかしてしまえるのなら、自分達に都合の良い方に法律を変えたくなるのが自然だろう。日本人ではなく、流入してきた外国人が政治の決定権を握る地域。そんな場所を最早「日本」と呼べるのだろうか?

外国人を1,000万人受け入れると、現在日本に在住する外国人約200万人と合わせてほぼ東京都の人口に匹敵する勢力が国内に生まれる。そして、1000万人の国籍の内訳は明らかにされていないが、地理的な観点でも世界の人口の割合から考えても、中国からの移民がかなりの割合を占めることになるだろう。

「これからやって来る外国人も現在日本で暮らしている外国人のように日本語を積極的に学び、日本の習慣に合わせる努力をそれなりにしてくれるはず。差別は良くない」と心優しい日本人は期待するかもしれない。

語学学校で私が見た限りでは、中国系の生徒は中国語を話す人間で一つのテーブルを固め、授業で発言する時以外はほとんど中国系同士で中国語を話していた。無理もない。日本人が周りにたくさんいたなら私だって日本人と日本語で話しただろう。わざわざ下手な英語でバックボーンの異なる他国出身の人間と話すより、母国語でやり取りする方がストレスが少なく会話が楽しいのだから。それでなくても慣れない外国生活でストレスがたまっているのに。

一斉に大量の中国人が日本に越してきたら、上記の語学学校と同じような状況になる。自分と同じ言葉を話す人間に大勢囲まれ一通りの用事が足りれば、どうして日本語などわざわざ勉強する必要があるのか。

私が日本で暮らしていた数年前、お兄さんが某府警の警察官をしているという同僚がいた。昼食をともにしながら彼女が

「兄の話だと、この頃外国人の犯罪がすごく増えてるらしいんですよね。このまま外国人が増えてったらどうなるんだろ・・・」

と話すのを、少子化で人口が減るため将来的には移民受け入れも止む無しとぼんやり考えていた私は、

「えー、でも、しょうがないんじゃないのー?人手が減るし」

と返した。あの頃の平和ボケしきった自分の暢気さを思い出しては呆れる。

メルボルンにはシティ中心部のチャイナタウンの他、郊外のBox Hill、Richmond、Springvale、Footscrayにベトナム系を含めて中国人が多く暮らす。どの街に出かけても歩いているのは中国人と思しき人ばかりで、「ここは本当にオーストラリアなのか」 と感じる。万が一日本で暮らす事になったとしても、必ずや同じバイタリティを発揮するだろう。

が、これは日本の中にチャイナタウンが激増して「日帰りで行ける中国!本場の飲茶食べ放題バスツアーが6,800円!」で済む話ではない。日本が丸ごとチャイナタウン化する恐れが十分にあるのだ。そして、日本人の間で増えすぎた外国人に対して排斥の動きでも起これば即座に数の力を持ってして日本を次のチベット、ウイグルに追い込むことだって有り得る。

個人レベルで話せば、中国の人もまた

「会計士の資格を取った後、自分は会計になんて全く興味がない事に気づいた」
「夫に『オレと結婚したならオレの母親も愛せ!』と怒られるが、自分にはそれが難しい」
「子供がオーストラリアの学校で勉強に付いていけるか心配」
「他の中国人みたいにコンビニや2ドルショップ(日本でいう100均)で働くのは嫌!」

等々私たちとそれほど変わらない悩みを持つ人たちなのだが、彼らが人間として尊重されるべき存在であることと、日本国内に大勢移り住んでいただくこととは話が別である。

縛りの厳しい自国での生活に疲れ、外国に出ても自国人同士で固まり、時に現地のルールを無視することから移民先の人間から警戒され、地球上のどこにも安住の地がない中国の人には同情しなくもない。

でも、お願いだから日本には来ないで。

王道の日本、覇道の中国、火道の米国

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Saturday 11 July 2009

「NHK ニュース7」をオーストラリアで見る

オーストラリアで暮らすようになって以降、日本に関する日本語の情報は大方ネットから得るしかなくなった。テレビからの情報は世界各地のニュースを放送する局SBSで月~土の朝5時20分から始まる「NHK ニュース7」だけだ。本来なら眠っている時間帯なのだが、ダーさんが仕事の都合で早起きなので一緒に起きてほぼ毎日見ている。

Sunday 21 June 2009

脱力!妙な日本語Tシャツが豪人気ドラマに登場

ここメルボルンで街を歩いていれば、日本語の文字が入ったTシャツを着ていたり漢字のタトゥーを彫っている人に出くわすことは全く珍しいことではない。越してきた当初は面白くていちいち反応していた私も、今やちょっとやそっとのものでは驚かなくなった。先日はスーパーのレジで私の前に並んだ男性の上腕に「福」の字を見つけたが、見事に裏表反転していた。世の中には知らない方がいい真実もある。黙ってやり過ごした。

そんなある日、かつてあのカイリー・ミノーグも出演していた豪人気長寿ドラマ『Neighbours』で久々にインパクトのある日本語Tシャツを見た。

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あい平和と幸福――「あい」が敢えて(?)漢字でないところが気に入った。それにしても、このTシャツのデザイナーは”love, peace and happiness”くらいの意味で軽く考えていたのだろうが、日本語を理解できる者にとっては何とも間抜けなデザインだ。『Neighbours』はシリアスなドラマだけに可笑しさ倍増だった。

ところで、うちにあるWilsonのリュックには英文の刺繍が入っているのだが、「CARRYING BAG」となるべき部分が「CARRING」となっている。正直恥ずかしいのだが人様からの頂き物であるうえ結構丈夫で使い出があるため、『どうせ誰もこんな細かいところまで誰も見てやしないさ』と自分に思い込ませてメルボルンでも愛用していたのだが・・・。ある日トラムに乗っていると前に座ったカップルが私のリュック辺りを見て何やらコソコソ話し始めた。はっ?もしやこのスペルミスに気づいてる?!慌てて当該の字を手で隠した。

やはり字の間違いは理解できる人にとってはアホっぽさ倍増なのだ。笑えるのだ。人に見られる英語や漢字を書く時はひと手間を惜しまず辞書を引きましょう。

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Thursday 11 June 2009

寝つきを良くする方法

子供の頃から寝付きが悪い。布団にもぐってから1時間、時には2時間以上眠れないこともざらだった。小さい頃ならそんな時は気分を変えるため枕持参で親の寝室に押しかけたりしていたが、ある程度成長してからはそういうわけにもいかず、社会人になってからは「早く眠らなくては明日が辛い」とあせる悪循環。

暖かい牛乳やワインを飲んでみたり、軽いストレッチをしてみたり、アロマポットで寝室をラベンダーの香りで満たしてみたり、クラシックを聴いてみたり、寝つきを良くするために役立つと言われることは一通り試してみたが、いずれも効果は今ひとつ。

というのも、どういうわけか目を閉じると決まって何かしら嫌な思い出が蘇ってくるのだ。それは昔の職場のお客から受けた理不尽な叱責だったり、今はもう顔を会わせることのない高校のクラスメートから「足が太いね」と言われたことだったりで、今となってはどうでもいい出来事ばかりなのだが、当時相手に言い返すことができず心の内で今も不満を燻らせているらしい記憶が次から次に蘇る。時には自分でもすっかり忘れていたような事を突然フッと思い出したりしてこれはこれで面白いのだが、我ながらよくこれだけ嫌な思い出ばかり忘れずに覚えていられるものだと感心する。英単語はいつまで経っても覚えられないのに。

そんな私とは対照的に、うちのダーさんは毎晩目を閉じてから数秒後にはスヤスヤ寝息を立て始める。その早さ、のび太のごとく。

ある日ダーさんに布団で目を閉じてから頭の中で何を考えているのか尋ねたところ、少し首を傾げて

「・・・楽しいことかな?」

と言う。なるほど。その発想は今までなかった。

教えを授かったその夜、早速眠りにつく際何か楽しいことを考えようと試みた。が、・・・はて、楽しいことって何だろう?えーっと、えーっと、いや、待って、何かあるはずだって。楽しいこと、楽しいこと・・・。あれ?もしかして、私って自分が楽しいと思うことが何か分からない!?・・・眠れない。

翌日、改めてダーさんに「ねえ、楽しいことって具体的にどんな事?」と尋ねたところ、

「えー?例えば、外を歩いてたら道路にお金が落ちてるのを見つけてラッキーとか、空から新聞が落ちてきて拾って読んでみたら面白い話があったりとか、駅に着いたら電車がちょうど来たとか・・・」

へー。そういう発想も今まで私にはなかった。

以来ベッドに入って目を閉じる度、スーパーに行くと欲しかった商品がちょうど安くなっていたり、知らない場所を歩いていて思いがけずおしゃれなカフェを見つけたり、何かラッキーな出来事が起こるイメージを描くよう努めてみたのだが、まもなくネタが尽きた。うーん。

仕方がないので、とにかく自分にプラスの感情が湧いてきそうな状況を思い浮かべてみた。始めはこれもなかなか思いつかなかったのだが、やがて、天気の良い日に芝生の丘に寝転がる、見晴らしの良い温泉に浸かる、海や満点の星空をボーッと眺める等、体がリラックスしているイメージを描くと効果があることを発見。

何だか青い鳥を探していたような気分ではあるが、嫌な思い出で頭の中を占められることはなくなった。これでいいのだ。




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Friday 15 May 2009

アメリカ人ってやつは・・・

豪チャンネル10では朝4時から2時間米CBSのモーニング・ショーを録画で放送している。ダーさんの仕事の関係で朝の早い私は 先日もダーさんを送り出した後コーヒーを淹れながらいつものようにこの番組を見ていた。

番組はニューヨークからの中継で、やがて「ズームイン!!」のように司会者がスタジオの外へ出て集まっている一般人に声をかけるコーナーに移った。司会者がその中の老夫婦に「どこから来たの?」と尋ねたところ二人の答えは「オーストラリアのシドニーよ」。すると司会者は続けて

「ああ、そう。ビッグ・シティに来てどう?」

ご夫妻はにこやかに「とても素晴らしいわ」とか無難な返事をしていたけれど、TVの前にいた私はそのいかにもアメリカ人らしい質問に「ケッ」という気分になった。そりゃニューヨークは大した都会なんだろうが、それ以外の人を端から田舎物扱いする司会者の態度はどうだ。

そう言えば日本で働いていた時、アメリカ人のお客から「これ使える?」と100米ドル札を渡されたこともあったっけ。

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)
町山 智浩

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Friday 1 May 2009

豪コメディアン 「日本でやってほしいこと」を募集中

ハーミッシュ&アンディ(Harmish & Andy)は豪国内ではかなり知られた二人組。日曜夜の人気トークショー「Rove」にもレギュラー出演中のコメディアンです。

そんな彼らが平日夕方に持つラジオの冠番組の企画で今度日本を訪れることになったとか。日本滞在中二人が何をしたら良いと思うか日本在住の人からアイデアを絶賛募集中。

彼らが今までどんな活動をしてきたか、参考までにいくつか動画をご紹介。まずは「Rove」でちょうど1年前に放送された企画「ゴースティング」。路上を歩く人の後ろにこっそり付いてどこまで気づかれずにいけるか、というもの。







こちらは隠しイヤホンを着けたハーミッシュがアンディの指示通りの行動をしなければならない、というドッキリ。休憩中のタクシーの運転手さんに近づき「僕のこと知ってる?」と尋ねるハーミッシュ。知らないと答える運転手さんになお「サイン欲しい?」。いらないと言われても「5ドル」「5ドルくれるまでここを動かない」とか言わされています。







他にはタスマニア島へ帆船で渡ってみたり(途中嵐に出会って散々な目に)、メルボルン・パークのコートと同じ青色に全身を塗りたくって元世界No.1のジム・クーリエに挑戦してみたりというものもありました。活動履歴から察するに、アイデアはあまりシリアスなものではなくとにかく馬鹿馬鹿しいものの方が採用される可能性は高そうです。

豪テレビが以前日本でやった企画の中で印象に残っているのは、東京のある注目映画のプレミアで関係者でも何でもない別のコメディアンペアがレッドカーペットを歩くというもの。誰だかよく分からないのにそれっぽい格好をした外国人が歩いているのでとりあえずキャーキャー騒ぐ女の子や、キャストと勘違いしたインタビュアーの質問に適当なことを答えるやりとりがかなり笑えました。

私は二人に英語が全く通じなさそうな田舎のどこかを放浪してほしいと思っています。ハーミッシュ&アンディに日本でこれをやってほしい!というアイデアがひらめいた方はこちらから(もちろん英語でね)。

Unessential Listening
Hamosh & Andy
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Thursday 23 April 2009

傑作!インテリアショップfreedomのホラーなCM

最近テレビで流れる度に大爆笑してしまうのが、豪大手インテリアショップfreedomの在庫一掃セールのCM。

Monday 13 April 2009

ジョン・バトラー・トリオのライブを聴いた

イースター・ウィークエンドを迎えた金曜日、私とダーさんはどこへ行くでもなく家で暇を持て余していた。買い物へ行こうにもお店は軒並み休業なので、こんな日はちょっと散歩にでも行ってみましょうか、ということに。

家を出て坂道を下るとメルボルン中心地を流れるヤラ川のほとりに出る。川沿いに設けられた歩道を進んでいくと自転車に乗った家族連れやジョギング中の人としばしばすれ違う。川の上ではボートのトレーニングに励む人の姿も。天候に恵まれたこの日は肌に感じる風も暖かく、バーベキューを楽しむグループ客を横目にしながらシティー方面に歩いていると、なにやら遠くから音楽が聞こえてきた。興味を惹かれてそのまま音の鳴る方へ。

ほどなくしてフェンスで囲まれた一帯にたどり着いた。正面入り口に回ると壁にポスターが。「Chill City」というライブイベントを行っているらしい。その日は何組かのアーティストが入れ替わりに登場することになっていて、一番上に「8:00-10:00 John Butler Trio」とある。なんですって!私は彼らの「Funky Tonight」が大好きなのだ。







チケットを売っているので一応れっきとした有料イベントなのだろうが、会場の周囲をグルリと囲むフェンスは2mほどで音は外へもダダ漏れている。そのおこぼれを求めてか、会場脇を走る道路を挟んだ対岸の芝生の丘にはマット持参で寝転がっている人の数が20人は下らない。これって、臨場感をシビアに求めなければこの調子で夜にはジョン・バトラー・トリオも聴けるってこと?わざわざチケットを買ってライブを楽しみたいほどのコアなファンではないが、タダなら是非一度は聴いてみたい。聴くしかない!しかし、その時は散歩で体が温まることを前提にした極めて軽めの服装で、そのままでは日没後のひんやりした空気には耐えられそうになかったため一旦帰宅して出直すことに。

夕食を済ませ夜8時再び会場へ向かう。毛糸の帽子、長袖のダウンジャケット、ウールのレッグウォーマーに暖かい紅茶を持参するという完全防備で少し大げさかとも思ったが、実際はちょうど良い案配だった。入り口前の芝生広場の一角にピクニックマットを広げて陣取る。予想通りここでも音は問題なく聴こえる。

定刻を10分ほど過ぎた頃ジョン・バトラー・トリオが登場した。実は彼らの曲で知っているのは「Funky  Tonight」以外では「Better Than」他2、3曲なのだが、生演奏を聴くのはやはり楽しい。今日もジョン・バトラーの超絶技巧のギターが冴える。こんなのタダで聴かせてもらっちゃっていいのだろうか(でも、聴こえるし)。ちなみに、車を会場近くの路上に止めたのだが、夜間なのでここもパーキングチケット代はかからなかった。

10時近くになると演奏終了を待たずに会場を後にする人が増えてきた。その中には幼児を連れた家族連れも少なくない。そういえばライブ会場の中に子供のための遊具が見えた。正直子供を遅くまで連れて歩くことは感心しないが、家族全員で野外ライブを楽しもうという雰囲気が自然にあるのは素晴らしいと思う。

アンコール4曲目で待ちに待った”Funky Tonight”。イントロのギターが初秋を迎えたメルボルンの夜空高くに響く。なんとも贅沢なひとときを過ごさせてもらった今年のイースター・フライデイだった。

Grand National
John Butler Trio

Grand National
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