Wednesday 28 February 2007

全豪2007観戦記 DAY 6 (その3)


朝からパラついていた雨は、その後も降ったり止んだりの繰り返し。屋根付きアリーナ以外のコートでは全く試合が行われていない。


仕事帰りのダーさんが午後から来場。


「せっかく来たのに気の毒やけど、今、外の試合全然やってへんねん」


「ああ、残念やなあ。けど、ヴィクトリアにとっては恵みの雨やねんで。もうずっとカラッカラやってんから」


この夏ここ何十年かで最悪の干ばつに見舞われたヴィクトリア州。取水制限はステージ3と呼ばれる段階に入っていて、庭への散水は早朝と夜の一日計4時間限定、芝生への放水と家庭でのホース使用の洗車に至っては完全に禁止されている。もしも違反現場を当局に発見された場合は、高額の罰金を払わなくてはならないとか。


再び強くなってきた雨足を避け、ロッド・レーバー・アリーナへ。建物内の通路は先客で溢れている。そして驚いたことに、ここではジベタリアン(死語)は若者だけの特権ではなく、老若男女がカーペットの床に座りこんで思い思いにくつろいでいるのだ。私たちもやっとのことで空いているスペースを見つけて腰を下ろす。


"Slice"という名前の割には結構なボリュームのチョコレートケーキを食べながら向かいの男性を見やると、横になり片腕で頭を支えながら新聞を読んでいる。ここはあんたの家のリビングか!なんて気を使わなくていい国なんだ、オーストラリア。


やがて、近くで若い人の奇声が聞こえてきた。既に出来上がっている様子。そんな人はいつも会場に数えきれないほどいるのであまり気にも止めていなかったら、突然男の人が私の目の前で立ち止まり、手のひらを逆手に差し出した。


・・・・・・・・何?


事情が飲み込めずポカーンとしていると、私の隣に座っていた見ず知らずの女性が「ここ、ここ」と男性の手のひらを指差している。それでも理解できずにいたら、「これを」と私の手を指した後「ここに」と再び男性の手のひらへ。


ハッ!


やっと事態を掴んだ私。自分の手のひらを男性の手のひらにパチーンと合わせるやいなや、男性は


"Yeahooooooooooo!!!!!!!!"


と声にならない声を上げて向こうへ走り去っていった。ああ、さっきの奇声の人か。なんていうか、リラックスしてるんだか、油断のならない土地なんだか、最早訳が分からない。


でも嫌いじゃないな、こういうの。


Tuesday 27 February 2007

全豪2007観戦記 DAY 6 (その2)


ボーダフォン・アリーナ正面は、リッチモンド駅で下車した後ロッド・レーバー・アリーナ方面へ向かうお客さんの通り道。そこには大きなスクリーンが設置されていて、アリーナに入れない観客でもボーダフォン・アリーナ内で現在行われている試合を楽しめるようになっている。


会場には試合開始前に到着したが、すでに大勢のお客さんで大賑わい。ワインやビールを飲んで談笑しているグループの姿も。みんな楽しそうでいいなあ。空いた席に腰を下ろす。


実は内心


「テレビで見るためにわざわざお金を払って入場するなんて、私ってバカ?」


と半ば自嘲的な気分で来場したのだが、観戦が始まるとこれが思っていたほど悪くない。周りに人がたくさん通っていても広いので気にならないし、スクリーンは高い所に取り付けられているため自分の前に人が立って画面が見えない、なんて事もない。


そして、何がうれしいって今日もセブは絶好調なのだ!!私の予想を裏切って強敵ナルバンディアン相手に2セットアップ。うっそ!勝っちゃう?ダビにも勝っちゃうの?なんか雨が降ってきたけど関係ねえやっ!やっぱ来てよかったなあ!!


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  今日も素敵♥ 


第3セット、セブの5-4で迎えた第10ゲーム。サーブはダビ。しかし、先にゲームポイントを握ったのはセブ。来た!マッチポイント!!


相手にマッチポイントを握られた時のダビの集中力は、DAY2の試合で嫌というほど(本当に嫌というほど)見せ付けられている。セブには何度もマッチポイントが来るが、やはり取りきれない。ここはかなりしんどいポイントですよ。でも頑張って、セブ!


しかし、デュースが繰り返された後、ゲームを取ったのは今日も今日とてダビだった。5-5。


『・・・・・終わった・・・・・』


安西先生に聞かれたら「あきらめたらそこで試合終了ですよ」と言われるところだが、あの炎天下でのダビのプレーを見てしまった後では、凡人ファンの私はもう勝てる気がしませんでしたよ、とてもじゃないけど。


Men's Singles - 3rd Rnd.


David Nalbandian (ARG)[8]


def Sebastien Grosjean (FRA)[28] 5-7 4-6 7-6(4) 6-4 6-1


・・・・・ああ、それでも久々にセブのプレーが見られて幸せだった事実に変わりはない。


ありがとう、セブ。また来年ね。


Monday 19 February 2007

全豪2007観戦記 DAY 6 (その1)


DAY6。今日はセブの3Rがある。セブの話ばっかりでごめんなさいよ。


2日前の帰り際、会場出口でDAY6のグラウンド・パスを買おうとしてふと考えた。セブの3Rの相手ってナルバンディアンだっけ。


「ナルバンディアンvsグロージャン」なんて、フェデラー、ナダル、シャラポン、地元選手達の御用達コートであるロッド・レーバーは無理としても、ボーダフォン入りなら十分にありえそうな好カードじゃないか?


両アリーナのチケットなど、とっくの昔に完売している。グラウンド・パスでもボーダフォン・アリーナには入場可能ではあるけれど、いつも入り口にはものすごい列ができていて、試合が終わるまでに入場できるかどうかすら怪しい。


じゃあ、もし試合がアリーナに入っちゃったら、指定席のチケットがないから見られない、なんてことになるのか。ボーダフォンの試合はテレビ中継もないし。なんてこった、せっかくメルボルンにいるというのに・・・・・


はっ・・・・・テレビ?


ボーダフォン・アリーナの試合をいつもテレビで放送している所ならあるじゃん。アリーナの前に―――――


土曜日。予想通り「ナルバンディアンvsグロージャン」はボーダフォン・アリーナの第1試合に組み込まれ、私はその試合をアリーナ前に設置されたビッグスクリーンで観戦するため会場に向かった。


Sunday 18 February 2007

全豪2007観戦記 DAY 4 (その3)


ハァ・・・・・


いつまでもセブの試合の余韻に浸っていたいのはやまやまだが、もう帰らなくては。というのも、今日はダーさんのお迎えがないため、一人で家まで帰らなくてはならないのだ。この後セブのダブルスの1Rも入あるけど・・・・・駅から家まで10分ほど歩くので暗くなる前に帰ろう。後ろ髪をひかれながら会場を後にする。


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モンフィスと女子選手がゲーム中


(自分のコートで1バウンドさせてラリー)。


ダーさんの話では「こっちは9時までは明るくて、その後10時にかけて暗くなる」ということだった。ところが、電車に乗っているとまだ9時前だというのに辺りが暗くなり始めたのに気づく。あれっ、なんで?(後に、「8時から9時」の聞き間違えだったと判明)


電車を降りる頃には、街はすっかり夜の様相。外国で夜道の一人歩きか・・・・・。周りはそんなに治安の悪くない場所だと知っているけど、それでも怖い。


・・・・・とにかく歩き出そう。千里の道も一歩から。


周りには人気がなく、近くを通る車の音以外に何も聞こえない。ああ、怖い!競歩並みの速さで歩き始めて5分後、約20m右前方から右折して私の歩く前を横切ってきそうなセダンを何気なく注意していたところ、


ドカッ!!!


暗がりの中響く鈍い衝撃音。4WDがセダンの助手席に突っ込んでいる。直進の4WDが右折のセダンに気がつくのが遅れたらしい。生まれて初めて目撃した、交通事故の瞬間を。


スピードはそんなに出ていなかったため怪我人はいないようだが、セダンの助手席のドアが大きく凹んでいるのが分かる。しばらく沈黙が続いた後、2つの車は脇の道路へ移動。


事故の当事者以外の目撃者はどうやら私だけ。一見軽い事故に見えるけど、万が一ここでトラブルが起きたら?しかも英語で!


『・・・・・逃げよう』


家を目指して一目散にダッシュ!ごめんなさい!!でも、揉め事に巻き込まれるのはイヤだ!!


間もなく帰宅。息を切らしながら事の次第をダーさんとシェアメイトのC嬢に話すと、C嬢は


「私も今日運転中に車の後部ドアが開いて、荷物が道路に散乱して大変だったわ。そのうち後ろで事故になっちゃったみたいで、私が荷物を片付けるのに車を離れている間に誰かが『免許証見せろ』って来たらしくて、助手席にいた友達が私の免許証を私に無断で勝手に見せちゃうし、頭きちゃう」


・・・・・マジで?


その話が事実なら、ちょっと交通事故が多すぎやしないか。この国のテキトーぶりはある程度覚悟していたけれど、本当に住んでて大丈夫なのか。不安な面持ちで立ち尽くしている私にダーさんが声をかけた。


「・・・・・まあ、座れば?ルドルフ」


ルドルフ?


怪訝に思いながら手を洗うためにバスルームへ。何気なく鏡を覗きそこに映った自分の顔を見て愕然!


今日一日客席で強い日差しを避けるため、サングラスをかけ頭にGジャンをかぶっていた私。


その結果、鼻の頭だけが真っ赤に日焼けしていた。




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Friday 16 February 2007

全豪2007観戦記 DAY 4 (その2)


さて、お待ちかねのセブの登場である。思い切って一番前の席に陣取った。


次、またいつこんなチャンスに恵まれるか分からないからね。


空は晴れているものの、雲が比較的多い。


ヒートポリシーが適用されたおとついのような事にはならずに済みそうだ。


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 2Rの相手はロクス弟、オリビエ。


 兄貴と違い根性の座った男。


 これはセブにとって厳しい勝負になるでしょう。




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 頑張って♥


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サーブ練習中。


オリー(とベルギー人サポーターが呼んでいた)を見るのは今回が初めて。小さい選手フェチの私にとっては外せない選手だ。男子ツアー随一のチビッ子と言えどやはりプレーは一流。小さな体をフルに使ってコートを駆け回る姿は、自由自在に剣をふるう銃士のような華やかさ。


試合は第1セットをオリーが先取。続く第2、3セットをセブが取るが、第4セットはオリーがしぶとく取り返してファイナルセット突入。1R観戦が不完全燃焼に終わった私にとっては、文句なしのシーソーゲーム。


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 セブの応援団「GROSJEANズ」記念撮影中。




それにしても乗っている時のセブのプレーときたら・・・


リズムも軽やかなステップと、緩急を巧みに使い分けメロディーを奏でる如く次から次へと繰り出されるショットのハーモニーに、自分が今、炎天下の中テニスの試合会場にいることを次第に忘れていく。クラシックを聴く趣味はないけれど、オーケストラが最高の演奏をした時の聴衆はこんな気持ちになるのだろう、と思う。そして、きっと客席のどこかにはセブにイカれてしまった女の子が今日もまた一人。私もうっとりして思わず目を閉じてしまいそう・・・おっと!セブのナイスプレーを見逃しちゃうよ!まさに至福の時、ここに極まれり。


試合終盤。いつの間にか私の後ろにいたお客さん(男性)から「セーブッ!セーブッ!」と「セブ」コールが湧き上がり、それまではおとなしく座っていた私も何だか興奮してしまって、一緒に声を上げてしまった。


「セーブッ!セーブッ!セーブッ!セーブッ!」


キャーーーーーッ!!!!!セブ最高ッ!!!!!


最後はオリーのショットがサイドを割って、4時間を越える熱戦が終了。


吼えるセブ。目の前で見た。感涙。


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  健闘を称えあう二人。


 



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  帽子を客席に投げ入れご機嫌のセブ。


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  客席から「セブー、タオルもシルブブレー!」の声。


  あげてるよ。言ったもん勝ちかもしれない。




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 お疲れさまでした。


Men's Singles - 2nd Rnd.


Sebastien Grosjean (FRA)[28]


def Olivier Rochus (BEL) 4-6 6-1 6-3 4-6 6-4


Thursday 15 February 2007

全豪2007観戦記 DAY 4 (その1)


大会4日目。もう一人で電車に乗るのも怖くない(財布の中に10ドル札があるから)。


今日行われるセブの試合は2番コートの2試合目。始まるまでにはまだ時間があるので、早い時間から大勢の観客でにぎわっているマーガレット・コート・アリーナに立ち寄る。


大入りの理由は、第1試合に地元のロバート・スミーツが出場するから。相手はベルディヒで、例の熱心なサポーター達も揃っている。


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  完全アウェイ(でも元気)。
 


試合は結構一方的な展開。ヒューに続く選手がそろそろ出てきてくれないと、オーストラリアは真剣にヤバいのだけれど・・・・・。


Men's Singles - 2nd Rnd.


Tomas Berdych (CZE)[13]


def Robert Smeets (AUS) 6-3 6-2 6-4



セブの試合の始まりを見逃さないために、早めに2番へ移る。コートでは第1試合ハンチュコワ vs ロイトの真っ最中。


生ハンチュを見るのは初めてだけど・・・・・やっぱり細くて白い!


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  まさに「コートの妖精」がそこに。


でもここだけの話、サーブのインパクトの直前、彼女の顎が一瞬微妙にゆがむのが気になって仕方ありませんでした。



Women's Singles - 2nd Rnd.


Daniela Hantuchova (SVK)[15]


def Emilie Loit (FRA) 4-6 6-3 6-4


全豪2007観戦記 DAY 2 (その8)



マーガレット・コート・アリーナの次の試合は、私のお気に入りサマンサ・ストーサーの1Rが入っている。しかし、電光掲示板には「ヒートポリシー適用により2時半まで試合は行われません」の表示。2時半ってもうすぐじゃん。待つか。

・・・・・あっつー。さっき買った600mlコーラが沸騰しそうな勢いで熱くなっている。ホットコーラって初めて飲んだなー。

しばらくして電光掲示板を再び見ると、「2時半」の表示がいつの間にか「3時半」に変わっているのに気づく。うそっ!アナウンスも何もなし?!こんな所に1時間もただ座っていられない。再び日陰を探し移動。

会場内にところどころ設置されているパラソルの下で休憩。しばらくボーッとしていたら背後から

「暑いわね」(英語)

の声が。振り返るとインド系のご婦人が座っている。周りには他に誰もいないので私に話しかけておられるようだ。勇気を出して「ほんと、暑いですね」と返事をしてみた。

「こんな日は家でテレビで観戦した方がいいわよね。家なら涼しいし、テレビは画面がクリアだし。でもうちの娘が『どうしても行く!』って言って聞かなくて」

「ですよね。私も『なんで今日来ちゃったんだろう』って感じです」

1時間後、再びコートを覗いてみる。客席には日光浴のお兄ちゃんしかいない。

そして、またもや何のアナウンスもなく「3時半」が「4時半」に変更されている。今日は5時にダーさんが会場入り口まで迎えに来る予定なので、ほとんど試合を見ずに帰るはめになりそうだ。

これが日本なら「試合やらないんならー、チケットの払い戻しとかー、してくれないんですかー?」とか言い出す輩が出てきそうなものだが、不思議なことにこちらのお客さんはそんな事を気にするそぶりが全く感じられない。

相変わらず頭はボーッするが、ただ座っているのにも飽きてきた。アザーコートを回ってみよう。誰か練習しているかもしれないし。

あっ!ベルディヒ発見。さっき試合終わったばかりなのに、また練習?熱心やなー。しかし、しばらく眺めているうちに彼の全身がヨネックスなのに気づく。どう見てもヨアキム・ヨハンソンだ。ありがとうございました。

ヨアキムをベルディヒと見間違えるなんて、いよいよどうかしている。今日はもう限界だ。帰ろう。

Wednesday 14 February 2007

全豪2007観戦記 DAY 2 (その7)


木陰でしばらく休んで体力回復。


再びマーガレット・コート・アリーナに戻ると・・・まだやってるよ!ダビ vs ティプセラビッチはファイナルセットに突入したところ。気温が40度近い中3時間も戦っているのだから二人とも体はグダグダに違いないのだが、それでもダビにはまだ余裕があるように見えるのは気のせいか。


最終セット、第3ゲームが終わった時点でティプセラビッチの棄権でついに試合終了。


また棄権か。でも今は心から「やっと終わってくれてありがとう」と言いたい気持ち。


勝利を決めたダビは両手を突き上げて歓喜。帰り際、客席のアルゼンチン人サポーター勢に持っているものを次々に投げ入れ、締めにはたった今試合で使っていたラケットまでプレゼントするサービスぶりでした。




Men's Singles - 1st Rnd.


David Nalbandian (ARG)[8]


def Janko Tipsarevic (SRB) 6-7(5) 4-6 7-6(2) 6-0 2-1 Ret.


全豪2007観戦記 DAY 2 (その6)


・・・・・暑い・・・・・。


ついつい「キリのいいところまで見よう」と欲をかいたためすっかり頭が朦朧としてしまい、今は軽くヤバい状態である。日陰。I need 日陰 right now。


アザーコート周辺を歩くうち、既にヒートポリシーが適用されていて、現在は第1試合がまだ決着していない数コートでしか試合が行われていないことを知る。


あっ、練習中のウリエット&ハンリー・ペアを発見。


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ハンリー。


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ウリエット(妙に白いな)。


14番コートに人だかりができているので覗くと、ジネプリvsアルマグロが先ほどのダビvsティプセラビッチと同様にもつれている。目の前にいるアルマグロの顔が尋常でない赤さで蒸気しているのが見てとれる。選手と同じ目の高さにいると、コート上の熱気がこちらにも伝わってきって、「こんな状況でも試合って続けなあかんもんなの?」と感じずにいられない。


・・・・・ハッ!また立ち止まってしまった。日陰を探しに来たのに。近くの盛り上がった芝生に木陰を発見。他のお客さんに倣い、ゴロリと横になる。・・・・・フー。


空を眺める。絶望的に広くて青くてカラッとした空。


「オーストラリアにいるんだなあ。ここは日本じゃないんだなあ」


ワクワクするような、少し寂しいような。


帰りたいような、別にそうでもないような。


とにかく、この様子じゃ今日は当分涼しくなるのを期待するのは難しそうだ。


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全豪2007観戦記 DAY 2 (その5)



マーガレット・コート・アリーナの第2試合に、私の大好きなサマンサ・ストーサーの試合が入っていることを知る。地元選手がロッド・レーバー & ボーダフォンの両アリーナ以外に入るのは稀なのだ。これは行かねば。

コート上では第1試合の真っ最中。スコアボードを見ると、ダビが2セットダウンで負けている!あらまあ、今日はやる気が出ないのかしら。昨日のリュビチッチに続く、大物まさかの1R敗退?

チェンジコートになったのを見計らい、空いた席に腰を下ろそうとしたら、

「ゥあっつーーーッ!!!」

座席が熱くて座れない!夜の防寒用に持参したデニムジャケットをお尻の下に敷いて観戦するが、そのうち何だか頭がクラクラしてきた。・・・・・もしかして、今日ってかなり暑い?

ダビのプレーにはいつものようなキレがなく凡ミスを連発。暑過ぎて集中できないのか?この調子ならストレートで決着がつきそうだ。ダビは好きだが、早く終わってくれなければサマンサの試合が始まるまでこちらの体が持ちそうにない。

ついにティプサレビッチにマッチポイント!しかし、ピンチになると突然目を見張るプレーを見せるダビ。

『うーん、さすがトップ選手。簡単には負けないね』

初めは感心していたものの、強い紫外線が容赦なく照り続ける中、何度マッチポイントを握られようとその都度ポイントを取り返す驚異的なダビの粘りを見ているうち、ティプサレビッチだけでなく観客の私も次第に追いつめられた気分に。

『もういいよ!頼むから終わってくれーッ!!』

熾烈なデュース攻防の軍配はダビに。

タイブレークに入ると、突然ティプセラビッチが投げやりなプレーを見せ始める。直前にメディカル・タイムアウトを取っていたのでどこか怪我でもしたのか。それとも根負けしたのか。第3セットをダビが取ったのを見届けた後、

「このままこの試合に付き合っていたら、死んでしまう」

と悟った私は、日陰を求めてアリーナの外に脱出。

Monday 12 February 2007

全豪2007観戦記 DAY 2 (その4)


セブの試合があまりにもあっさり終わってしまい拍子抜けだが、大会2日目はまだ始まったばかり。はて、この後は誰の試合を見たものか?


当てもなく周辺のコートを放浪する旅に出る。


Men's Singles - 1st Rnd.


Tomas Berdych (CZE)[13]


def Hyung-Taik Lee (KOR) 6-1 6-2 6-2


2番コートが賑やかなので覗いてみたら、ベルディヒとヒュンタクのサポーターが熱い応援合戦を繰り広げている。残念ながら試合のペースは一貫してベルディヒ主導。それでも、ヒュンタクがいいショットを決めれば、すかさず大声援で後押しする熱い韓国勢。


日本人はこういう感じで自国の選手の応援はしないなあ。なぜだか考えてみた。


・「ニッポン!チャ!チャ!チャ!」なんて恥ずかしくてやってられない。


・かと言って、それに代わる定番の応援スタイルもない。


・せっかくのグランドスラムなので、いつでも見られそうな自国の選手ではなく、めったに見られない選手が見たい。


・そもそも日本人客の絶対数が少ない(第1週の平日、関係者の方以外の日本人はほとんど見あたりませんでした)。


等々いくつか挙げてみましたが、結局のところ日本人の応援がイマイチ盛り上がりに欠けるのは、


「テンションが低かったから」(© 『ハイテンション・パブの反省会』 by グループ魂)


だと思います。




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Sunday 11 February 2007

全豪2007観戦記 DAY 2 (その3)


観戦記にもかかわらずいつまで経っても会場に辿り着けなかったが、何とか11時半過ぎに到着。セブの試合がいつどのコートで入っているのか確認するために、一目散にIBMのマッチレポートセンターに向かう。


人だかりの中ボードを見上げると・・・・・


ノーーーーーッ!!!


セブの試合は無情にも第1試合でとっくに始まっている。急がねば。


慌てて6番コートにダッシュ。


そして、ついにコートに。セブ!本物のセブだよ!!


今日はここまで長かったなー。セブのベンチの後ろの席が空いているので座る。


現在のスコアは?第1セットはセブの6-2で、第2セットはまだ始まったばかりか。


良かった。ちょっと見逃したけど、グランドスラムの男子シングルスは5セットマッチ。


まだまだゆっくり見れるよ。


3年ぶりの生セブ。ああ、相も変わらず華麗なこと極まりないですよ。


身も心も溶かされるプレーで、今朝の全てのドタバタが一気に報われる思い。


し・あ・わ・せ・・・・・♥


と喜んだのも束の間。


私が見始めて2ゲーム消化した後、先ほどメディカルタイムアウトを取っていた対戦相手の


ロクス兄が真っ赤に茹で上がった顔で審判に向かって歩み寄って来た。


・・・・・嫌な予感・・・・・やめてよ、私、今着いたばっかりなんだから・・・・・言わないで、


それだけは!!!


しかし、私の願いも空しく何やら審判と話した後、セブとロクス兄は握手。続けて主審よりロクス兄の棄権による試合終了を告げるアナウンスが。


グーリーズードーブァーーーーーッ!!!


よくよく考えればセブが体力を温存して2Rに進めるのだから、クリストファーにはむしろ感謝こそするべきなのだが、そんな道理がこの時の私に通じるはずもない。


突然のゲームセットに動揺しまくっている私の目の前でセブが帰り支度を始めた。こんなに近くに寄れる機会なんて、次はいつになるやら。ってか、もうないかも。失礼ながら写真を撮らせていただこう。


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散髪されましたね。


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笑顔(ピントずれてますが)。


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サインやらタオルやらを求めるファンのおねだりに対し、丁寧に応えておられました。




Men's Singles - 1st Rnd.


Sebastien Grosjean (FRA)[28]


def Christophe Rochus (BEL) 6-2 4-1 Ret.


全豪2007観戦記 DAY 2 (その2)



シェアメイトのC嬢の車に乗り込み、いざ駅へ。ところが・・・・・なんか方向が違うんですけど。

「あ、あのね、私、電車の駅に行きたいんだけど・・・」

慣れない英語で訴えてみたが、

「こっちで大丈夫!シティ方面に行くんでしょ」

と取り付く島がない。どうやら彼女はいつも使う最寄り駅ではなく、一つシティ寄りの駅まで送ってくれるつもりらしい。その好意はとてもありがたいのだけれど、ああ、どんどん初めの計画からずれていく・・・。

数分後、駅に到着。

「じゃ、入り口あそこだから。楽しんできてね!」

走り去るC嬢の車。ついに一人ぼっちになってしまった。心細い。

とりあえず券売機に向かう。なんだ、同じ機械じゃん。これなら大丈夫。

と安心したのもつかの間、お札を入れる場所を見て愕然。そこには20ドル札以下しか受け付けないと書いてある。ヤバッ!!私50ドル札しか持ってないよ!!!しかも、その駅はよりによって無人駅ときた。いつもの駅なら駅員さんがいるのに!

・・・・・大丈夫。崩せばいいんじゃん。どこかでスナックでも買えばいいじゃん。

一人で何か買うのは、今回オーストラリアに来てからは初めて。緊張しつつ近くのお店に入る。適当にポテチの小袋を一つ取ってレジへ。

ダーさんの事前のアドバイスに従い、笑顔で"Hi"と言ってレジに近づくと、そこにいたインド系のお兄ちゃんがいきなり早口でワーッとまくしたててきた。何?何言ってんの?!全ッ然分からない!!

3回ほど聞いて、どうやら「こっちの小さいのを一つ買うより、あっちの大きいのを買った方が一つ無料で付いてきてお得だよ」と勧めてくれているらしい、と理解。親切なお兄さんね、ありがとう。でも・・・

「いいの!私、これがいいの!これだけでいいの!!」

と英語で説明し(たつもりで)解決。よし!崩れたよ。今度こそ切符が買える。再び券売機へ。

こちらの券売機はお金を入れる前に、購入する切符の種類、乗車するエリア、普通料金か割引利用かを指定する。昨日の練習の通りにボタンを押して20ドル札を挿入。しかし、何度入れてもお札がベローンと戻ってきてしまう。なぜ?

券売機の注意書きをよく見ると、「10ドル以上のお釣りは出ませんよ」とあるのに気づく。買いたい切符の料金は9ドルなので、20ドル札を入れても受け付けない、というわけか。さっきのポテチは2ドルいくらかだったので、今財布の中にあるのは、20ドル札2枚とコイン7ドルちょい。これではまた買えない。

『・・・・・・・』

ざけんなっ!出せよ!機械なら10ドル以上でもお釣り出せるようにしとけよ!!ダーッ!!なんでたった切符1枚買うのにこんなに苦労しなければならないのか。これだから外国は嫌いなんだよ!!

逆境にとことん弱い私。早くもめげそうになるが、落ち込んでいる暇はない。今日はセブがメルボルン・パークにいるのだ。頑張れ、私!

『「これを10ドル札2枚と交換して下さい」って英語で何て言うんだっけ?』

何度か暗唱してから先ほどのお店に戻る。お兄さんは

「ああ、電車の切符買いたいんでしょ?」

とあっさり交換してくれた。

10ドル札をゲットし、やっとのことで切符購入に成功。すぐにシティ方面行きの電車がやってきた。

『・・・・・もしかしたら、私がいちいち物事を大げさに捉えすぎているから疲れるのかも』

少し反省しつつ乗車。

Saturday 10 February 2007

全豪2007観戦記 DAY 2 (その1)



デ杯ワールドグループ1R「ベルギー vs オーストラリア」をテレビの生中継で見ています。

また、金曜夜7時半から放送のインテリア番組『Better Homes and Gardens』でスターのお宅拝見のコーナーがあるのですが、今週のゲストがトッド・ウッドブリッジで、トロフィーが山ほど飾っている部屋などが出てきました。やはり豪邸でしたが、プールがやたら細長く(推定幅25mX奥行3m)、側溝みたいだったのが印象的。

こういうのが見られる時だけは、『こっち来て良かったな』って思います。今のところ、こういう時だけです。


大会2日目。いよいよセブが1Rで登場する。これは見逃せませんよ。何を置いても会場に行かなければ。しかし、頼りのダーさんは仕事なのだ。

「電車の乗り方は教えたし、もう一人で行けるやんな」

力なく頷く私。・・・・・異国で一人で電車に乗るなんて、はっきり言って自信ないにゃー。

―――明けて翌朝。目が覚めて枕元のデジタル時計を見ると予定起床時刻の8時。そうだ、セブの試合を3年ぶりに見られるんだもの。自信ないとか言ってられない。頑張って会場に一人で行くぞ。

起き上がって支度を始めようとした時、ふと机に置いた腕時計が目に止まる。あらっ?見ると時計の針は10時を差している。

・・・なぜに?

慌ててリビングの壁時計を確認すると、やはり10時。

・・・・・10時?

もしかして今10時?!

ということは、今から支度していたのでは、会場の到着は正午前になってしまう!セブの試合が第1試合(午前11時スタート)だったらどうしよう!!セブを見る貴重な機会が!!!うおーーーっ!!!!!前日にネットで何試合目か調べておけば慌てずに済んだのだが、当時は他の人と家をシェアしていたため自由にネットが使えなかったのだ。

セブの試合が第1試合でないことを祈りつつ、とるものもとりあえず身支度を整える。その時シェアメイトのC嬢から

「駅まで車で送るよ。郵便局に行くついでだから」

との申し出。うわー助かった。

ところで、一夜のうちに時計が2時間遅れたその理由は、時計が日本から持ち込んだ電波時計だったのが原因。夜のうちに電波を強制受信して、いつの間にか日本時間に戻ってしまっていたのですね。オーストラリアに着いてからこちらの時間に合わせて問題なく使えていたので安心していたら・・・。

しかし、時計の遅れなどこの日の悲劇のほんの序章に過ぎなかったのだ。ジャジャーン。

全豪2007観戦記 DAY 1 (その4)


只今メルボルンで初めての家探しに追われています。


当初日本で探すのと同じ感覚で捕らえていましたが、こんなに大変だとは・・・・・。


最早とても見つけられる気がしません。


そんなわけで現実逃避中。




夕方6時を過ぎてもこの時期まだまだ日の高いメルボルン。


うっかり時間を忘れそうになるけれど、明日はダーさんの仕事が朝早いのでそろそろ帰らなければならない。


ああ、でもその前にあの人の姿を一目だけでも・・・。


Men's Singles - 1st Rnd.


Feliciano Lopez (ESP)


def Brian Wilson (USA) 7-6(8) 4-6 6-3 7-6(3)


メルボルン・パークのアザー・コートのうち17番から22番のコートはその他のコートと離れていて、会場の東にあるボーダフォン・アリーナ寄りに固まっている。会場マップからは気づきにくいのだけれど、実際会場にいるとこの辺りは「世界の果て」感が強く、わざわざ足を運ぶのがかなり億劫な場所なのだ。


しかし、そんな「世界の果て」21番コートでF-Lo様が試合をしているというので、駅へ帰る道すがら立ち寄った。客席の隙間から覗いてみたら、ちょうど彼がジャッジにイチャモンをつけているところ。


イチャモンをつけていても、やはり色男であることには変わりなく。ポー。




Men's Singles - 1st Rnd.


Mardy Fish (USA)


def Ivan Ljubicic (CRO)[4] 4-6 7-6(2) 6-4 6-4


早く帰らなければならないのだけど、ボーダフォン・アリーナ前のビッグ・スクリーンを見たらリュビチッチがフィッシュに負ける寸前!試合の行方が気になって近くの椅子に腰掛けてしまった。座ると今度は何か食べたくなる。会場内のいたるところが帰りたくなくなる罠だらけ。恐い。


試合はそのまま流れが変わらず、ほどなくして終了。その後アリーナから落胆したクロアチア人サポーター達がぞろぞろと出てきた。"Disgraceful!!!(サイテーーーッ!!!)"とご立腹のギャルが叫んでいる。


そのうち、がっかりした様子のクロアチア国旗を身に纏った男性が私たちに近づいてきて、


「これあげるよ。次の試合見られるから使ってよ」


とボーダフォン・アリーナのチケットを1枚くれた。マジで?!いいの?ありがとう!でも・・・


「お兄さん!私たち二人連れだから2枚くれないと!!」


英語で何と言ったらいいのか迷っているうちに、お兄さんはいなくなってしまった。


ああ、私たちも今度こそ帰らなきゃ。後ろ髪を引かれつつ初めてのグランドスラム観戦初日は終了。