Tuesday 21 October 2008

聞くは一時の恥、聞かぬは・・・・・

先日の投稿で移民局の担当者と私の名前の話で盛り上がった一件について書いたが、実は雑談の後こんなやりとりが続いていた。


その日は日本に帰国する前にあたり、最近申請が受理された私の永住ビザを証明するラベルをパスポートに添付してもらうために移民局を訪れていて、彼女は私のパスポートに新しく貼り付けた永住権のラベルを示しながらこう言った。

「それじゃここの番号なんだけど、あなたのパスポートNo.とリンクしているから」

指先を見やると、そこにはなぜか私の旧パスポートのNo.が印字されていた。しかし、自分の疑問を英語に変換するのが面倒だったこともあってか、咄嗟にこう思い込んでしまった―――このNo.は最初に降りた一時居住ビザが発行された時の元々のパスポートNo.とリンクしているのだな。ところが、これが大変な勘違い。

日本へ帰国当日。メルボルン発ゴールドコースト経由で出国することになり、ある日の早朝、寝ぼけ眼で当地の出国審査カウンターでパスポートを渡したところ、係員の男性はそれを開くや動きが固まった。一気に目が冴えてくる。何か問題でも?少しして男性は豪永住ビザのラベルを私に見せつつ問いかけてきた。

「・・・・・この番号は前のパスポートのもの?」
「そうです」
「前のパスポートは今持ってる?」
「自宅に置いてきました」

男性は他の年配の職員を呼び何やら相談。そのうち別室へ移動してしまった。カウンターの向こうでとっくに審査を終えたダーさんが事の次第を見守っている。

誰もいないカウンターで一人、数週間前に交わした移民局でのやりとりを必死に思い出してみる。担当の人は「この番号がパスポートとリンクしている」旨だけを告げただけで、旅行の際旧パスポートも同時に携帯するようにといった指示はなかった。いくら私が英語が聞き取れないとは言え、それは間違いない(と思いたい)。となると、単純に移民局の印刷ミスなのか?

ここへ来てようやく私は気がついた。あの時勇気を出して一言聞けばこんな面倒は起こらなかったのだ。「この番号は旧パスポートのもののようですが、大丈夫ですか?」と。なんなら"Is this number OK?"でも良かった。というか、それで十分だった。

しばらくすると男性は戻ってきて言うには

「今は移民局と電話が通じないから、とりあえずパスポートのコピーをとらせてもらったよ」

通してもらっておいてこんな事を言っていいのか分からないが、そんな適当でいいの?!いや、こんな時こそこの国のテケトーぶりには感謝せねばなるまい。出国でこんなに時間がかかったことはかつてなかったので緊張したが、大事にならずに済んだようだ。良かった……そして忘れた。

10日後、関空で日本を出国するためJetsta○のカウンターを訪れパスポートを渡すと、また係員の男性の動きが止まった。しばらくしてゴールドコーストの際と同じページを開いて質問。

「失礼ですが、こちらの番号は古いパスポートのものですか?」
「そうです」
「古いパスポートは只今お持ちですか?」
「自宅に置いてきました」

デジャヴー。ああ、ラベルの番号が古いパスポートのものだと知っていたのだから、どうして旧パスポートも持ってくるぐらいの機転がきかなかったのか。私のバカバカ。

「このようなケースは初めてでございまして・・・・・確認をとりますのでしばらくお時間をいただけますでしょうか?」

担当のお兄さんは恐縮しきりだが、元を糺せば私が移民局できちんと疑問点をクリアーにできなかったことが原因なのだ。どうでもいい話は散々したくせに、たった一言質問する勇気が出せなかったおかげで各方面にご迷惑をおかけしてしまった。

どこに電話をかけているのか、

"T is for Tiger."

と何度も言わされているお兄さんに申し訳なく思いながらカウンターでぼんやりとしていると、ふと中学生の頃覚えた徒然草の一節が脳裏に浮かんだ
少しのことにも、先達はあらまほしきことなり。

いや、必要なのは「先達」じゃなくて「勇気」だが。

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