例えば、
- 最初にひと月だけ住んだユニット。跳ね上がり式のガレージの戸を開けようと下に付いた紐を手前に引っ張ったところ、スルッとほどけて思いっきり尻もち。一筋縄ではいかない豪住居の洗礼を受ける。
- 次に住んだ6BRの一戸建て。4口あるガスコンロの一つが使用不可能。キッチンの明かり取りの窓からは雨漏り。玄関のインターホンは気分次第で鳴ったり鳴らなかったり。
- そして、今のアパートに引っ越してきた当日。固定電話を取り付けたところ、開通しているはずなのに受話器から発信音が聞こえない。工事のおじさんが来てくれたが、おじさんも原因が掴めずしばらく困惑。1時間後、隣の部屋のカーペットの下で無残にぶち切れている電話線を発見。カーペットを固定するためのピンが原因だったらしい。ところで、前の住人はどうしていたのか?
- キッチンとシャワーの蛇口は、両手で思いっきり締めても「ポタッ・・・・・ポタッ・・・・・」と24時間漏れっぱなし。
- シャワーを流すと、蛇口の根元から熱湯が溢れ出し止まらない。熱くて蛇口に触れず一騒動。
- その2日後、突然キッチンの明かりが付かなくなった。早速電球を変えてみたが変化なし。天井の裏側の配線に問題があるらしい。以来ほったらかし。
- 洗面所で歯を磨いていると、突然頭上からタイルが剥がれ落ちてきて目の前で割れた。
- おとつい、台所の流しの前に水たまりが出来ているのを発見。何事かとシンク下のドアを開けたところ、排水パイプが途中で外れていて、棚にしまっていた物がびちょびちょに。
そして昨日。最近シャワーの水圧が弱まっているような気はしていたが、日本でシャワーの気前の良い流れぶりに感激して戻ってきた直後だったこともあり、あまり深刻に受け止めていなかった。しかし、勢いは日に日に弱まっていき、ついには少ない水量でやっとの思いでシャワーを済ませても、体の震えが止まらない有様に。・・・・・寒い、寒いよ・・・・・日本に住んでいた頃はこんな目にあった事ない。日本の家はこんなにいい加減な造りじゃない (狭いけど)。オーストラリアのバカ住宅め!!!もう許さんッ!!!!!
「ぶもーーーッ!!どうなっとるんじゃーーーッ!!!!」
怒りのあまり、私はシャワーヘッドを取り外しにかかった。DIYの心得もほとんどないくせに無謀な試みだったが、幸い取り外した部品を順番に安全な場所で並べるくらいの冷静さは残っていた。シャワーヘッドはドライバーなしで簡単に外れ、試しにヘッドのない状態でお湯を流して見ると、普通の勢いでなぜか黒ずんだお湯が飛び出してきた。熱ッ!!これは間違いない。このシャワーヘッドの中に問題が!!
ダーさんと一緒に上部の蓋をクルクル回して外して見ると、内部に直径1cmほどの窪みがあり、そこに細かい錆状の物体が詰まっている。日本に帰国中元栓を締めていた関係で、水道管が錆びたのではなかろうか、とは素人の推測。爪楊枝とティッシュを使って残らずこそげとる。これ以上外せそうな箇所は見当たらない。これで直らなかったらどうしよう。あの「予約をしてもすぐには来ない」と評判の豪プラマー (配管工)にお世話にならなければならないのか。・・・・・めんどくさ。
シャワーヘッドを再び取り付け、祈るような気持ちで蛇口を回す。すると、シャワーヘッドから懐かしい勢いでお湯が流れ出した。そうだ!そう言えばこのシャワーってこんな感じだったよ!やったー、直ったー!!私でも直せたー!!!
なんだか初めてオーストラリアでやっていけそうな気がした。
我が家を速効メンテナンス (学研ムック)
編集部






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