Saturday 26 July 2008

オーストラリアで銀行口座を開く

オーストラリアで銀行口座を開く際、IDチェックのため何らかの身分証明書が必要になるのだが、入国から1ヶ月以内ならパスポートだけでOK。しかし、それ以降になると運転免許証や公共料金の請求書など現住所を示す他のIDが必要になる。

そんなわけでさっさと口座を作っておけばなんてことないのだが、オーストラリアに来てすぐの頃の私はスーパーでの買い物一つスムーズにいかない生活に疲れ果て、差しあたり必要でない銀行口座の開設をついつい後回しにしてしまった。

しかし半年後仕事が見つかり、いよいよ自分名義の口座が必要に。仕事帰りで疲れているダーさんにお願いして、木曜は夜8時まで営業している某大手銀行の支店へ連れて行ってもらう。

人影もまばらな夜のショッピングセンター内を駐車場からしばらく歩いてやっと目的の店舗を発見。入口をくぐると、赤いカーディガンを着た品のよいご婦人がちょうどどこかへ出かけるところだった。

「今私一人しかいないのよ。ちょっとお茶飲んでくるから、悪いけど20分後にまた来てくれる?」

日本なら有り得ない対応だが、こちらでは極めてありがちなこと。約束通り20分後カウンターに戻るとご婦人も戻っていて、私たちに椅子を勧めてくれた。用件を尋ねられたので私の口座を開きたい旨を切り出すと、私たちの生活状況についていろいろ質問をしてきた。日本から移住してきてこちらの生活を始めて間もないこと、永住の予定であること等聞かれるままに答える。

「あら、じゃあ、将来はマイホームの購入も考えてるの?」

家!!居住期間が短すぎてクレジットカードですら作らせてもらえるかどうかまだ怪しいのに家の話ですか!!一瞬鼻白むが、笑顔で取り繕う。ええ、将来的にはなーんて、ウフフ。

「そう。・・・・・でも、どうして、今、口座が必要なの?」

・・・・・なんで口座一つ開くのにこんなにいろいろ聞かれるんだろうか?日本じゃこんな事なかったよ!ちょっと泣きそう。しかし、夫婦そろって豪での居住年数が浅いうえ、このご時勢海外送金を想定して銀行が用心するのも理解できる。テロリストと関係している訳でもなし、こちらにやましいところは何もないのだ。込み入った話をする時はいつもダーさんに任せっぱなしの私だが、ここは自分で説明した方が信頼してもらい易いだろう。今までダーさんの口座があったので不便を感じていなかったが、思いがけず今回職に就くことになった旨を必死で伝える。あー、なんか汗が。ご婦人は事情を理解してくれたらしく身分証明書を要求してきた。とりあえずパスポートを渡したところ、

「・・・・・他に何かないかしら?」

やっぱり現住所を証明するものが必要なのか。運転免許証があれば良かったのだが、私のテンポラリービザでは正規の免許証すら作らせてもらえないのだ(運転自体は、日本の免許証と領事館で発行の翻訳証明のセットで可能)。そのうえシェアハウスに住んでいるので、住居に関する契約書類も正式なものは何もない。

持ってきた書類は一応ある。あるけどこれでいいんだろうか、「Tax File Number」のレター。オーストラリアで働く人は、何はなくともまず最初にこの「Tax File Number」を申請しなければならない。私の場合はネットを通して申請し、後日自宅へ番号の入ったレターが郵送されてきた。公の機関から私あてに送られてきた書類は今までこの一通。先日図書館でカードを作った際にもやはり現住所が確認できるIDが必要で、この「Tax File Number」のレターを渡してOKをもらったが、図書館と銀行では話が違う。ダーさんは隣りで『そんなもんが銀行で通じるわけない』という顔つきをしている。ダメもとでレターを渡してみた。

ご婦人は少しレターを眺めると、

"OK"

と頷き、すぐに口座を開くための書類を用意し始めた。ウソ!やった!チェックが通った!この時、政府からのレターが身分証明書としていかに強力に働くかを知った。後はトントン拍子に手続きは進み無事終了。というわけで、これからオーストラリアに来られる方は、すぐには必要なくても口座は即開いておいた方が後々面倒くさいことになりませんよ。悪いこと言わないから。






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