Wednesday 23 July 2008

くれくれタバコ

メルボルンがあるヴィクトリア州では公共施設や公共交通機関ののりば周辺はもちろんの事、レストランやバーの中ですら喫煙が禁止されている。

うちのダーさんは喫煙者で、外出先でちょっと吸いたくなった時はいきおい屋外に出て行くことになる。そうして一服しているとしょっちゅう現れるのが

「Excuse me. 良かったら僕にも1本もらえないかな?」

という輩。日本では「火を貸してくれ」という人ならよくいたが、ここではタバコそのものをせびってくる。つわものだ。

オーストラリアではタバコは決して安くない。1箱20本入りで約10ドル(約1,000円)。日本でも将来的に同様の値段に設定する動きがあって喫煙家の皆さんはおかんむりだそうだが、ここではとっくにそれが現実となっている。移住をきっかけにダーさんも禁煙してくれるかと密かに期待していたが、値段が高かろうが吸える場所が限られていようが、止められないものは止められないらしい。政府の思う壷だ。

私がタバコをせびられたならきっと「ごめんなさい。今吸っているのが最後の1本なの」とか平気で嘘を付いて断るのだが、ダーさんは"No"が言えないタイプの人間で、いつも素直に分けてあげている。それでも

「『2本くれ』って頼んだら厚かましすぎるかな?」

と畳み掛けてきたオヤジがいた時は、さすがの彼も少しムッとしていたが。

そして、数日前の夜のこと。通りに出て洗車したばかりの車を満足気に眺めながらダーさんがタバコを吸っていたところ、通りがかりの男性から

「突然で失礼だけど、良かったら君のタバコ1本売ってくれないかな?」

と声をかけられた。ダーさんはあげるつもりで1本渡したところ、その男性はその引き換えとして本当に50セント硬貨をくれたという。今まで「タダでもらって当然」という態度の人にしか会ったことがなかった彼は心から感激したとか。

心温まるお話。っていうか、ホントにタバコ止めてよ。









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