ある日のこと、今度は口元が痒くてたまらなくなった。掻いているうちにやがてその部分は白い粉をふき始め、若干腫れてきた。白い粉は洗顔等で水に濡れるとポロポロと剥がれ落ちる。掻いたり剥がれ落ちたりを繰り返しているうちに表面は堅くざらつき、直径2cmほどの赤黒ずんだ跡が目立つように。これはもしかしてアトピー性皮膚炎というやつでは?
そんな状態に陥っても医者嫌い、薬嫌いも手伝って放置していたのだが、気がつけば治ることなく4ヶ月が経過した。これほど一つの症状にしつこく悩まされるのは初めてのことで、「さすがに何か処置を施さなければまずいのではないか」と思い始めた矢先、全豪オープンテニスが開幕を迎えた。
それまで数ヶ月間スーパーに出かける時くらいしか外出しない生活を続けていたのだが、テニスファンの私は1月後半ほとんどの時間を炎天下での観戦に費やした。そんな毎日を繰り返していたある日、ふと口元の痒みも跡もいつの間にかきれいさっぱりなくなっているのに気がついた。ご存知の方も多いようにオーストラリアの紫外線は強烈で、シミを気にしてそれまで極力肌をさらさないように心がけていただけに、この結果には心底驚いた。そして、現在も再発はしていない。
調べてみたところ、一般には「太陽光線はアトピーを悪化させる」という説があるらしい。私の症状がいわゆるアトピーだったのかどうかは分からないし、紫外線が治療に効果があったという確たる証拠もない。それでも、2週間ほぼ毎日最高気温が30℃を超える屋外で過ごしているうちに、4ヶ月治らなかった痒みが嘘のように消え去ったこと、また、家の中で靴下なし、キャミソール1枚でいても大丈夫なほど冷え性が緩和されたのは事実だ。
自分の力でアトピーが消えた!
堀田 忠弘





